道房は思い出していた。今までの自分の仕事のやり方を。自分は営業マンとして常にトップを歩いてきた。だから見積もりや資料作成等の面倒なことは全て人に押し付けていた。外回りをして仕事をとってくる。それが自分の役割だし、自分がやらないと会社は成り立たないとすら思い込んでいた。
けれど、本来はチームで仕事をするべきだったのだ。自分が取ってきた仕事を安西のような人が丁寧にアフターフォローをしていく。そんなチームが組めれば、もっと最強の営業軍団になれたに違いない。
今更ながらそんなことを思ってしまった。
「ついたぜ。ここがオレの事務所だ」
そこは中心市街地から少し外れたのビルの一角。以前は少人数のセミナールームだったのだろう。そこは立派なオンライン配信スタジオに変わっていた。
「今じゃこのスタジオを貸してくれっていう人も多くなってね。今はオンラインコンテンツが流行りだからなぁ。ここからライブで動画配信やっているやつも多いんだぜ」
「さすがに、いきなりこんな設備はそろえられないですよ」
「だったらここの設備を使えばいい。その費用も込み君のノウハウを教えてもらう。これでどうだい?」
道房としては願ったり叶ったりである。
〜おしらせ〜
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