「助け合ってやっていく、かぁ…」
道房はその言葉に考えることがあったようだ。急に神妙な顔つきになった。
「道房くん、君は今まで一人で営業をやってきたんじゃないかな?」
唐沢は道房の考えていることをズバリ言い当てた。
「あ、はい、そうなんです。営業の世界なんて結局自分しか信じられなくて。誰かと組むなんてこと、そして助け合うなんて今まで考えもしませんでした」
「なるほど、やっぱりそうか。まぁオレも入社したての頃はそんな感じだったな。特にライバルの羽賀には負けねぇぞって気負ってたんだけど。でもな、人には得意不得意ってのがあるってのを実感したんだよ。羽賀は営業戦略を企画するのはズバ抜けていた。けれど、資料を作るのはそれほど得意じゃない」
「じゃぁ、それを唐沢さんが?」
「いや、資料を作るのはもう一人、サポートしてくれる女性がいたんだよ。オレは渉外担当ってとこかな。この三人のチームでいろんなことをやってきたもんだ。時には口論もあったけど、それはあくまでも一つの目的を達成させるためにやっていたことだからな。だから、オレたちは雲をつかむような話でさえ現実のものとしてきたんだ」
その言葉で道房はドキッとした。
〜おしらせ〜
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