「ま、まぁ…営業勝負に負けてしまって」
「ほう、営業勝負ねぇ。おもしろそうじゃない。つまり誰かと営業成績で争って、その末に負けて居づらくなった。だから会社を辞めてしまったってことか」
「は、はぁ」
「営業勝負をかけたってことは、それなりに営業の腕には自信があったってことだよな?」
「はい。新規営業をとるのは得意なんです。新しいお客様を回って仕事を得る。オレはこれが好きなんです。でも、営業勝負ではそれが通用しませんでした。いや、最後の最後で失敗したんです」
「どんな失敗なんだい?」
「新規をとることにばかり意識を置きすぎて。契約してくれたお客さんをほったらかしにしてしまったんです。それでキャンセルがあいついでしまって…」
「その結果、負けてしまったということか。いやいや、そりゃまいったね。でも、新規営業の腕は間違いない。だからそのノウハウをセミナーとして人に伝えることをやってみよう、ということか」
「はい、そうなんです」
「じゃぁさ、そのノウハウ早速オレに教えてよ」
「えっ、唐沢さんにですか?」
「そう。で、その内容でウチの契約がとれたら、今回の相談料は無料にするってのはどうだ?悪い話じゃないだろう?」
〜おしらせ〜
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