「唐沢さんっ!」
のりこが思わず叫んだ。
「唐沢さん、早すぎですよ。今電話されてたばかりじゃないですか」
「いやぁ、たまたま街なかをぶらついてたときに羽賀のヤロウから電話かかってきてさ。ちょうどヒマだったからすぐに来てみたんだよ。のりちゃんの顔も久々に拝見したいと思ってね。それにしてものりちゃん、今日もキレイだね」
「あはは、ありがとうございます」
のりこは苦笑いしながらカウンター奥へと逃げ込んだ。どうやらのりこは唐沢のこの軽いノリが苦手なようだ。
「で、どちらがその営業セミナーをやりたいって人なんだ?」
唐沢の目線は窓際席に座っている安西と道房の二人に向けられた。
「あ、こちらの道房先輩がそうです」
安西が先に名刺を取り出しながらそう言った。
「自分が先程電話を受けた安西です」
「オレは経営コンサルタントをやっている唐沢ってんだ。まぁそんなにかしこまらずに、気楽に行こうぜ」
そう言って二人に名刺を渡す。
「あ、オレは今無職で名刺ないんですけど。道房といいます。今まで安西がいる会社で営業をやっていました。でも、ちょっと居づらくなって先日辞めたんです」
「居づらくなったって、何かやらかしちゃったのかい?」
〜おしらせ〜
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