「誰だよ、その羽賀さんってのは?」
「羽賀さんは俺を導いてくれた人です。コーチングのコーチをやっていて、とても頼りになる人なんです。あの人ならセミナーとかやっているはずだから、そのノウハウを知っているんじゃないかと。早速連絡してみます」
安西はすぐに電話をし始めた。その間、道房はマスターに一つ質問を投げかけた。
「マスターはジャーナリストから喫茶店のマスターに転身する時に、迷いとかなかったんですか?まったく違う仕事をするわけだし」
「そうですね。迷いが無かったと言えば嘘になりますけど。でも、先代のマスターがいろいろと私を導いてくれたし。ゼロから喫茶店を始めたわけではなかったのもありがたかったです。先代が築いてきた信頼のお陰です」
「そういう条件がそろっているのはありがたいなぁ。オレもそんなふうに仕事を始められれば、なんの迷いもなくセミナー講師ができるんだろうけど。どこかにそんな師匠みたいな人いないかなぁ」
そう思っていたときに安西の電話が終わった。
「安西、どうだったんだ?」
「それが、羽賀さんは直接やり方を指導するのは今は無理って」
「そうかぁ」
その言葉で道房は落胆。やはり思ったようにいかないものだ。
〜おしらせ〜
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