そう言われて自分を指差し、素っ頓狂な顔をする安西。どうして道房の思い描く答に自分が出てきたのか、意味がわからない様子だ。
「それこそ意味がわからない。この答、まさに雲をつかむような感じだなぁ。マスター、これってどういうことなんですか?」
道房はたまらずマスターに頼ってしまう。
「まぁ、私もシェリー・ブレンドを飲んだ方をたくさん見てきました。人の顔が出てくるということも今までありましたね。そういう場合、その人がなにかカギを握っているっていうことが多かったのですが」
「俺が道房さんの答のカギを握っているってことですか?うーん、なんだろうなぁ」
安西は腕組みをして考える。
「確かに、安西の営業のやり方も大事なのはわかるけど。でも、オレと真逆のことをやっているわけで。オレが営業セミナーをやるのに、安西のやり方を真似ろというのはちょっと違う気がするしなぁ」
「セミナーといっても、俺はそんなのやったこともなければノウハウを知っているわけでもないし」
「安西さんの知り合いに、そういうノウハウを知っている方はいないんですか?」
たまらずのりこが尋ねた。
「あ、そう言われたら一人います。羽賀さんだ。あの人のこと忘れてた」
〜おしらせ〜
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