「だから、シェリー・ブレンドを飲んでまずは自分の本当の気持ちに気づくこと。さらに、どうすればセミナーを開けるのかのヒントを得ることが必要かなと思いまして」
道房はマスターの言葉には従順である。自分もマスターのような生き方をしてみたいという憧れがあるからだろう。
「じゃぁ、早速いただきます」
道房は少し冷めたシェリー・ブレンドを口の中に含んだ。そして目をつぶる。周りのみんなは道房の表情に注目する。
最初は冷静で落ち着いた表情をしていた道房。だが、数秒後に眉間にシワを寄せ始めた。そして首を横に振る。何を感じたのだろう?
そしてようやく目を開く。
「どんな味がしましたか?」
恐る恐るのりこが尋ねる。
「マスター、このシェリー・ブレンドは今欲しいと思っている味がする。まれにそれが映像で浮かんでくるということでしたよね?」
「はい、そうですが。何が見えたんですか?」
「うーん、ということはこれがやっぱり答なのかなぁ」
どうも納得いかない表情を浮かべる道房。
「どうしたんですか?」
今度は安西が尋ねる。すると道房は突然安西を指差した。
「お前の顔が浮かんできたんだよ。これってどういう意味なんだ?」
「えっ、俺の顔ですか?」
〜おしらせ〜
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