のりこが突然、そんなことを言い出した。
「えっ、なにを思いついたんですか?」
安西のほうが興味津々にのりこに尋ねてきた。
「新規営業で困っている人って、たくさんいると思うんですよ。だったら、そういう人に新規営業を獲得するコツっていうセミナーを開くのはどうかなって思って」
「あ、それいいかも。そんなコツがあるんだったら知りたいって人、たくさんいると思いますよ。先輩、セミナーやりましょうよ!」
のりこの提案に対して安西のほうが乗り気になっている。
「セミナーって、オレがその講師をやるってことか?いやいや、オレは講師ってガラじゃないって」
思いっきり否定をする道房。
「本当にそうなのでしょうか。ぜひシェリー・ブレンドに答えを聞いてみてはいかがですか?」
マスターがそう提案する。
「シェリー・ブレンドに答えを聞くって、どういうことですか?」
道房はマスターの言った意味が今ひとつ理解できていないようだ。
「私の目から見て、ちょっと迷いがあるような気がしたんです。今口では格子のガラではないとおっしゃいましたが、心の奥ではやってみたいという気持ちもあるのでは?」
そう言われて「見抜かれた」という表情を浮かべる道房であった。
〜おしらせ〜
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