「私も紗綾と同じです。やっぱり私達、双子なんだなって。でもどうして?」
「それは、お二人が似た者同士になりたいっていう願望があるからですよ」
「願望?」
これも二人で声を揃えている。のりこは思わず吹き出しそうになってしまった。
「はい、このシェリー・ブレンドは飲んだ人が今欲しいと思っているものの味がします。味そのもので表現されることもあれば、ほしいと思っていることが頭に浮かんでくることもあるのです。これがシェリー・ブレンドの魔法なんです。お二人はどうやら頭に浮かんでくるタイプのようでしたね」
「それで魔法のコーヒーなんですね。でも、私が真綾と同じになりたいっていう願望があるなんて。そんなつもり、まったくないんだけどなぁ」
「私だって同じです。双子でもお互いに個性を出し合いたいからこそ、こうやって見た目も違うようにしているんです」
「それって、いつ頃からそのようにし始めたのですか?」
「う〜ん、いつだったかなぁ。小学生の頃にはもうこんな感じだったよね」
「私は覚えてる。紗綾は髪を伸ばしたいって言ってたけど、私は幼稚園の年中さんのときに髪を切りたいって自分で言いだしたの」
妹の真綾が力強くそう言った。
〜おしらせ〜
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