紗綾と真綾、二人とも同じタイミングでカップを手にし、そして口の中にコーヒーを注ぐ。そして目をつぶり、上を見てその味を堪能する。さらに、全く同じタイミングで目を開けてお互いの顔を見合わせる。
「すごーい、なに、この味?」
「今までこんな味のするコーヒーって飲んだことが無い」
その様子はシンクロナイズドスイミングを見ているかのように、動きがぴったりと揃っている。のりこはその様子を見て驚き、マスターは感心していた。
「どんな味がしましたか?」
のりこが興味深く二人に訪ねた。
「最初はすごく香りのあるコーヒーだって思ったんです。飲んだときも、素直に美味しいって思った。でもその後がおもしろかったんですよ」
真綾が勢いよく答える。その後、間髪入れずに紗綾が話を続ける。
「私も同じです。そしてパッと浮かんだのが真綾だったんです」
「私も同じ、紗綾の顔が浮かんできた」
再び二人は顔を見合わせる。
「お互いの顔が浮かんできたんですね。他に何か感じましたか?」
マスターが追い打ちをかけるように尋ねる。今度は紗綾のほうが先に答えた。
「私達って、似てない双子だって思っていたんですけど。でも、やっぱり双子なんだなって感じたんです」
〜おしらせ〜
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