「おいおい、急にどうしたんだよ。今までの勢いはどこにいったんだい?」
「このコーヒーを飲んでわかったんです。というか、今までもわかってたんです。オレ、自分の実力もないのに見栄を張って自分をデカく見せようっていうの」
友永は黙って信一の言葉にうなずく。信一は話を続けた。
「社長の甥っていうのも、本当はオレにとっては負担でした。おじさんの顔を潰すような仕事はできない。逆を言えば、おじさんの株を上げるような仕事をしてやればいいんだって。だから図面の修正とか小さな仕事はしたくなかったのは確かです」
「そうか、そういう気持ちがあったんだな。信一、よく話してくれた。ありがとう」
「だから、だから今回こんな大きな仕事を、しかも新規の取引先の仕事をオレに任せてくれるのはありがたいんですけど、今はプレッシャーの方が大きくて。なので、友永さんに手伝ってほしいんです。いや、友永さんにこの仕事をやってほしいんです。オレは今まで通り、友永さんの図面修正の仕事をさせてもらいます」
友永はポンと信一の肩を叩いた。
「それがこのコーヒーを飲んで得た、お前の答なんだな」
「はい」
「わかった」
「じゃぁ…」
「だが、この仕事はお前に任せる」
〜おしらせ〜
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