Cafe Shelly next 第7話 鬼と金棒 その4 | 【小説】Cafe Shelly next

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喫茶店、Cafe Shelly。
ここで出される魔法のコーヒー、シェリー・ブレンド。
このコーヒーを飲んだ人は、今自分が欲しいと思っているものの味がする。
このコーヒーを飲むことにより、人生の転機が訪れる人がたくさんいる。

 社長の甥という立場を傘に、自分は偉いんだと言わんばかりである。みんなは信一が怖いわけではない。社長から何か言われるのが嫌、面倒。その思いがあるので、結局信一には何も言わない。言えない、のではなく言わない、のである。

 

 それを信一は勘違いして、さも自分が偉いと思いこんでいる。その挙げ句にこんなことを言っている。

 

「まさに、鬼に金棒だぜ」

 

 この言葉を聞いたとき、友永はあきれてしまった。鬼に金棒は、強いものに武器をもたせるとより強くなる。つまり、そもそもあるものにふさわしいものを加えると、より魅力を持つという言葉だ。

 

 だが、信一はそもそも鬼のように強い存在ではない。そこに社長という武器を持たせたところで、より強くなるわけでもなく、魅力が高まるわけでもない。だが、信一は自分には実力がある、魅力があると思いこんでいる。だからあのような横柄な態度をとっているのだ。

 

「で、どうするんだよ、あいつ」

 

 ここは喫茶店。友永の同僚でもあり、営業部の松田がコーヒーカップを片手にそう言ってきた。

 

「どうもこうもないよ。あの性格を直してもらうか自主退職でもしてくれない限りこの状態は続くんだろうなぁ」

 友永がため息をついてそう言う。

 

〜おしらせ〜
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