困ったを良かったに変えて考えてみる。これはサトシにとって今まで考えたこともなかった概念だった。けれど、今回その体験ができて、全てを前向きに捉えることができる。そんな気がしてきた。
「マスター、今日はありがとうございました。おかげで気持ちもスッキリしましたよ。それにまつ子さん、あなたがいてくれたおかげで心強かったです。まつ子さんは常に冷静に周りを見回して、みんながよくなるように判断をしてくれるから」
サトシは二人にあらためて感謝の気持ちを伝えた。
「これにて一件落着じゃな。まぁ、次は桑原とサトシさん、二人でこのお店にくることになるじゃろうから、そのときはマスター、よろしく頼むぞ」
「もちろんです」
「それにあなたも、よろしく頼んだぞ」
まつ子はカウンターでずっと聞き耳を立てていたのりこに対しても、そう伝えた。のりこは急に自分に話題を振られたものだから、びっくりして「あ、はい!」と大きな声を出してしまった。おかげでカフェ・シェリーは笑いに包まれることになった。
「それじゃ、そろそろ帰ります。うん、今日はいい一日になりそうです」
「うむ、私もそうじゃな。マスター、今度から時々お店にも寄らしてもらうよ」
〜おしらせ〜
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