気がつけば閉店の時間。のりこは結局最後までお店の手伝いをしてくれていた。
「のりこさん、今日はほんとうにありがとうございます。おかげで今まで以上の方々にシェリー・ブレンドの味の感想を聞くことができました。みなさん、満足な笑顔になってくれましたよ」
「こちらこそありがとうございます。うん、やっぱりみんなが笑顔になるのを見るっていいですね。なんだか本当の意味で働いたなって気がしています。これからここが私の職場になるのかぁ。なんだかすごく嬉しいです」
「そう言っていただけるとありがたいです。今日はもうこれで結構ですから」
「なに言っているんですか。まだ最後の片付けとかあるんですよね。それまで手伝いますよ。それと、朝は何時から準備を始めるんですか?」
「えっ、朝ですか?ここは7時半には開店しますので、6時半にはお店には来ていますけど…」
「わかりました。6時半ですね。有給が取れた日にはその時間にお手伝いに来ますから」
「そ、そんなことまでしてくれなくても…」
「そんなこと、じゃないです。私はこのお店の一員なんですから。これからはマスターを一人にはさせませんよ」
のりこの言葉、マスターは心からうれしかった。
〜おしらせ〜
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