「のりこさん、すっかり店員さんになりきってますね。すごいな」
羽賀が笑いながらぼそりとそう言う。さらにのりこはこんなことを言い出す。
「マスター、この格好じゃ店員なのかお客さんなのかわからないですから。エプロンとかないですか?」
「あ、確か奥にあったはず。ちょっと待ってて、取ってくるから」
マスターが奥に行っている間にも、のりこは新しいお客様を席に案内する。どうやら以前来たことがあるお客様のようだ。のりこを見て、新しい店員なのかを聞いている。それに対してのりこも笑顔で対応。たったこれだけのことなのだが、カフェ・シェリーの雰囲気がとても明るくなっている。やはりお店に女性がいると違うものなんだな。とても華がある。
「マスター、シェリー・ブレンド、ワン」
「かしこまりました」
その受け答えも、すでに二人は何年もやりとりをしている間柄のような感じに見える。どこにも違和感がない。
「これはおもしろくなっていきそうだぞ。新しいカフェ・シェリー、新しい風が吹きそうだ」
羽賀はマスターとのりこの二人を傍から見て、期待感が高まっていた。この先、どんなことがこのお店で展開されるのか、考えただけでもワクワクしてくる。
〜おしらせ〜
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