『そういえばこの数年間、恋愛なんてしなかったな。かわいいなとかきれいだな、なんて思うことはあっても、好きになるっていうまではなかった。でも今、とても胸がドキドキしている。やばい、のりこさんをそういう目で見てしまいそうだ…』
マスターは心の中でそんなことを思ってしまった。こんな人とこれからずっと一緒に仕事ができる。それだけでも幸せな気持ちになれそうな気がしてきた。
「マスター、どうしたの?なんだかボーッとしちゃって」
羽賀のその言葉でハッと我に返った。
「あ、いや、これからのりこさんの待遇を考えて…」
あながち間違いではない答えだな。マスターは自分で言ったセリフに妙に納得してしまった。
「うん、このお店に来て間違いじゃなかったな。やっぱりうわさどおりのお店だった。今、とても気持ちが晴れ晴れとしているのがわかるわ。よぉし、もっともっとそんな気持ちになれる人を増やしていかなきゃ。あらためてマスター、これからよろしくお願いします」
「うん、一緒にがんばっていきましょう」
カラン・コロン・カラン
新しいお客様の来店。
「いらっしゃいませ」
マスターよりも早くのりこがそう言う。少し遅れてマスターが同じように言う。
〜おしらせ〜
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