Cafe Shelly next 第1話 独りじゃない その21 | 【小説】Cafe Shelly next

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喫茶店、Cafe Shelly。
ここで出される魔法のコーヒー、シェリー・ブレンド。
このコーヒーを飲んだ人は、今自分が欲しいと思っているものの味がする。
このコーヒーを飲むことにより、人生の転機が訪れる人がたくさんいる。

 のりこはプロがコーヒーを淹れるという動作を初めてじっくりと見た気がしていた。へぇ、こんなふうにやるんだ、と心のなかで感心した。そしていよいよお湯を注ぐ時、マスターがなにやら呪文のように口ずさんでいるのを目にした。あれはなんなのだろう?

 

「のりこさん、このコーヒーをお客様へ」

 

「はい」

 

 普通ならばカウンター越しのお客様にはマスターが直接渡すのだが、ここはあえてのりこに任せてみた。

 

「お待たせしました。シェリー・ブレンドです。飲んだらどのような味がしたのか、ぜひ教えて下さいね」

 

「ありがとう。じゃぁ早速いただきます」

 

 男性客はそう言うと、のりこに一礼をしてからカップを手にした。そしてゆっくりとそれを口に注ぐ。そして目をつぶってしっかりとシェリー・ブレンドの味を確かめる。

 

「うん、なるほど。そうなのか」

 

 男性客がそう口にする。一瞬、マスターが乗り出そうとしたが、ここはのりこの出番だと思い少し待つ。が、のりこはなかなか男性客に声をかけない。マスターはすこしやきもきしながらのりこの様子を見ていた。だがのりこはまだ男性客をじっと見ている。

 

 すると、男性客の表情が変化した。

 

「いや、やっぱりこっちの方がいいのか!」

 

〜おしらせ〜
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