Cafe Shelly next 第1話 独りじゃない その20 | 【小説】Cafe Shelly next

【小説】Cafe Shelly next

喫茶店、Cafe Shelly。
ここで出される魔法のコーヒー、シェリー・ブレンド。
このコーヒーを飲んだ人は、今自分が欲しいと思っているものの味がする。
このコーヒーを飲むことにより、人生の転機が訪れる人がたくさんいる。

「いらっしゃいませ!」

 

 なんと、マスターよりも先にのりこの方がそうやってお客様に声をかけた。のりこはすでにこのカフェ・シェリーの店員になりきっているようだ。マスターは思わず笑ってしまった。

 

「こんにちは」

 

 現れたお客様は背が高くてメガネを掛けている。笑顔がとても素敵な男性だ。このとき、マスターはお客様に声をかけようとしたがあえてやめてみた。男性客はさっと店内を見回して、カウンター席へと向かった。

 

「じゃぁ、私が注文を聞いてくるから。のりこさんは私と一緒にカウンターに来てください」

 

「はい、わかりました」

 

 その様子をじっとうかがう男性客。なにやら事情を察したようだ。

 

「マスター、ここの一番のコーヒーをお願いします」

 

 男性客がそう言うと、それに答えたのはなんとのりこだった。

 

「それなら、シェリー・ブレンドがおすすめですよ。このコーヒーには魔法がかかっているんです。ぜひそれを体験してみてください」

 

「へぇ、魔法がかかっているんだ。それはおもしろそうだね。じゃぁ、それを一つお願いします」

 

「かしこまりました」

 

 マスターは笑いをこらえながらコーヒーを淹れる準備を始めた。のりこと男性客は、マスターをじっと眺める。

 

〜おしらせ〜
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