Cafe Shelly next 第1話 独りじゃない その16 | 【小説】Cafe Shelly next

【小説】Cafe Shelly next

喫茶店、Cafe Shelly。
ここで出される魔法のコーヒー、シェリー・ブレンド。
このコーヒーを飲んだ人は、今自分が欲しいと思っているものの味がする。
このコーヒーを飲むことにより、人生の転機が訪れる人がたくさんいる。

 男性は女性に向かって、真顔でその言葉を伝えた。これはプロポーズの言葉とほぼ同等である。

 

「じゃぁ、三年待てば私のところに来てくれるの?」

 

「うん、今から入ろうとしている会社で三年間しっかりと修行して、同じような職種に転職してもいい。それに、あの会社はちはるちゃんの実家に近くにも工場があるから。うまくいけばそっちに転勤だってできるかもしれない。まだ未来は決まっていないんだから。三年間はさっき感じた強い苦味になるかもしれないけれど、そこを突破すれば必ず甘い生活が待っているから。だから…」

 

「わかった、私もがんばってみる。あなたの言葉を信じて、私も苦味に耐えてみるから」

 

 二人は見つめ合って、完全に二人の世界に入り込んでしまっている。どうやらこれで悩みは一件落着のようだ。マスターはその姿を見て、カウンターへと戻っていった。

 

「すごい、これがシェリー・ブレンドの力なんだ…」

 

 のりこはカップルの様子を客観的に眺めていた。そして、自分が飲んだシェリー・ブレンドにこれほどの力があることを改めて感じた。いや、シェリー・ブレンドの魔法の力だけじゃない。マスターがいたからこそ、この結果につなげることができたんだ。

 

〜おしらせ〜
Cafe Shellyのバックナンバーはこちらで読むことができます
https://ncode.syosetu.com/s5786f/