のりこはそう言いながら、コーヒーカップを両手で包み込み、今度は穏やかな目でそれを眺める。自分の悩みがシェリー・ブレンドで解決するんじゃないか、その望みを持ってここにやってきたことを、その表情からマスターは悟った。
「それで出てきた答えが『一人じゃだめ』なんですね。もう少し詳しく教えて下さい。そこからどんな行動をしようと感じましたか?」
「うぅん、それがまだ見えてこなくて。一人じゃないってことは、誰かと一緒にいないといけないってことですよね。彼氏はまたこれから見つけなくちゃいけないんでしょうけど。それはともかく会社のことはどうすればいいのか…」
「だったら、その答えをシェリー・ブレンドに聞いてみるといいですよ。ご存知のようですが、シェリー・ブレンドは飲んだ人が今欲しいと思っているものの味がします。ですから、今欲しい答えを教えてくれますよ」
のりこはニコっと笑って、もう一度カップに口をつけた。さっきより冷めてしまったコーヒー。今度はどんな味でのりこにその答えを教えてくれるのか?
マスターはのりこの様子を黙って見つめる。のりこはさっきと同じように、コーヒーを飲んだ後目をつぶる。だが、すぐに変化はない。
〜おしらせ〜
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