Cafe Shelly next 第1話 独りじゃない その13 | 【小説】Cafe Shelly next

【小説】Cafe Shelly next

喫茶店、Cafe Shelly。
ここで出される魔法のコーヒー、シェリー・ブレンド。
このコーヒーを飲んだ人は、今自分が欲しいと思っているものの味がする。
このコーヒーを飲むことにより、人生の転機が訪れる人がたくさんいる。

 のりこはそう言いながら、コーヒーカップを両手で包み込み、今度は穏やかな目でそれを眺める。自分の悩みがシェリー・ブレンドで解決するんじゃないか、その望みを持ってここにやってきたことを、その表情からマスターは悟った。

 

「それで出てきた答えが『一人じゃだめ』なんですね。もう少し詳しく教えて下さい。そこからどんな行動をしようと感じましたか?」

 

「うぅん、それがまだ見えてこなくて。一人じゃないってことは、誰かと一緒にいないといけないってことですよね。彼氏はまたこれから見つけなくちゃいけないんでしょうけど。それはともかく会社のことはどうすればいいのか…」

 

「だったら、その答えをシェリー・ブレンドに聞いてみるといいですよ。ご存知のようですが、シェリー・ブレンドは飲んだ人が今欲しいと思っているものの味がします。ですから、今欲しい答えを教えてくれますよ」

 

 のりこはニコっと笑って、もう一度カップに口をつけた。さっきより冷めてしまったコーヒー。今度はどんな味でのりこにその答えを教えてくれるのか?

 

 マスターはのりこの様子を黙って見つめる。のりこはさっきと同じように、コーヒーを飲んだ後目をつぶる。だが、すぐに変化はない。

 

 

〜おしらせ〜
Cafe Shellyのバックナンバーはこちらで読むことができます
https://ncode.syosetu.com/s5786f/