のりこは再び、肩をすくめて視線を下にして、落ち込む態度を見せた。
「私、あの頃なんだか自暴自棄になっちゃって。もうどうでもいいやって気持ちが強くて仕事をいい加減にしてしまったんです。その結果、大きなミスをしてしまいまして」
「大きなミス?」
「はい。お客様のとりつぎでミスをしてしまいまして。専務の大事なお客様できちんとアポをとってきた方にも関わらず、そのお客様を追い返してしまったんです。専務は会議中だとうかがっていたので。でも、そのお客様を交えての会議だったんです。その確認をしないまま、ただこちらの都合ばかりをお客様に言ってしまって」
「でも、それが受付のパートナーの方が遠ざかる原因になるんですか?」
「それが、そのことで私だけじゃなくパートナーの彼女も一緒に叱られることになっちゃいまして。それ以来、私に冷たい態度を取るようになったんです。もう私のことが信頼できないって」
「その後はどうなったんですか?」
「どうなったもなにも、そのままです。プライベートでも一人、仕事でも一人、全部孤立しちゃって。この先どうすればいいのかなって。そんなとき、知り合いからこのお店の魔法のコーヒーの話を聞いたんです」
〜おしらせ〜
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