Cafe Shelly next 第1話 独りじゃない その11 | 【小説】Cafe Shelly next

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喫茶店、Cafe Shelly。
ここで出される魔法のコーヒー、シェリー・ブレンド。
このコーヒーを飲んだ人は、今自分が欲しいと思っているものの味がする。
このコーヒーを飲むことにより、人生の転機が訪れる人がたくさんいる。

「それで、今は一人になってしまって。もういい、私は一人で生きていくんだって、そう思っちゃったんです。半ば自暴自棄なんですけどね。そんなふうに思ったら、今度は仕事がうまくいかなくなってしまって」

 

「お仕事が、ですか?」

 

「はい。私、会社で受付の仕事をしていたんです。この仕事は二人一組でやるんですけど。そのパートナーとなっている人とうまくいかなくて」

 

「うまくいかないとはどんなふうに?」

 

「相手の方が私を遠ざけるようになってきたんです。今まで仲良くしていたのに。原因が私にあるのはわかっているんですけど。でも、どうしてこうなっちゃったかなぁ」

 

 彼女はふさぎ込むように頭を抱えた。マスターはその様子を見て、なんとかしてあげたいという気持ちが湧いてきた。けれど、ここで下手なアドバイスは逆効果。今はただ、彼女の話を聴いてあげることが大事だと心のなかで感じていた。

 

「そうですね。えっと…そういえばお名前をお聞きしていませんでしたね」

 

「あ、ごめんなさい。私は上里のりこっていいます」

 

「のりこさん、ですね。のりこさん、今ご自身に原因があるっておっしゃいましたけれど」

 

「そうなんです。私の態度が悪いのはわかっているんです」

 

〜おしらせ〜
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