「へぇ、マスター、弟子をとったんだ。ってことは、この人もシェリー・ブレンドの魔法が使えるの?」
ゆうちゃん、興味津々に聞いてくる。そうか、今日から靖雄さんにシェリー・ブレンドを淹れてもらうようにして徐々に私自身をフェードアウトしていけばいいんだ。
「じゃぁさ、モーニングのコーヒーをシェリー・ブレンドに変えてよ。もちろん、差額は払うから」
モーニングのコーヒーはシェリー・ブレンドではなくもう少し安いコーヒーで提供をしている。これはコストの関係もあるが、シェリー・ブレンドはゆっくりと味わってほしいので、慌ただしいモーニングの時間ではあまり出したくないというのが本音であったからだ。
「じゃぁそうしてみよう。靖雄さん、シェリー・ブレンドをお願いします」
「かしこまりました」
靖雄さん、早速コーヒーの準備にとりかかる。私は妻を手伝うことにしてその様子をうかがうことにした。コーヒーを淹れている間も、靖雄さんはゆうちゃんと笑顔で会話をしている。なかなかいい光景じゃないか。
「お待たせしました。シェリー・ブレンドです」
同じタイミングでモーニングセットのサンドイッチとサラダを出す。果たしてゆうちゃんの感想は如何に。