なんだかワクワクしてきた。胸が高まる。その胸の高まりが私の目の前に見えた光をさらに大きくしていく。まるでトンネルを抜け出るような、そんな感覚だ。
あの光はなんだ?そう思った瞬間、私の目の前には作家として活動をしている自分の姿が見えてきた。さらにその先には、私の作品を読んで喜びを感じている多くの人達の姿が。
そうか、私は多くの人に喜びや希望を与えていきたいんだ。それが私の喜びであり、私の成功の姿なんだ。これが私が目指す道、なりたい未来、進むべき道なんだ。
「味はどうだったでしょうか?」
この言葉で我に返った。そうか、これがシェリー・ブレンドの魔法なんだ。私のコーヒーを飲んだ人たちは、こんな体験をしていたんだな。
目を開けると、思わず笑みがこぼれた。
「これが、これがシェリー・ブレンドの魔法なんですね」
初めての体験。まだ胸が高まっている。
「ど、どんな味がしたんですか?」
私は今体験したことを素直に言葉にしてみた。私が今見た光のことを伝えながら、もう一つある想いが湧いてきた。これは靖雄さんに素直に話すべきだろう。
「これはどうしようかな、言うべきかな」
少しもったいぶりながら、バックヤードへと向かう。