第118話 父と子と その18 | 【小説】Cafe Shelly next

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喫茶店、Cafe Shelly。
ここで出される魔法のコーヒー、シェリー・ブレンド。
このコーヒーを飲んだ人は、今自分が欲しいと思っているものの味がする。
このコーヒーを飲むことにより、人生の転機が訪れる人がたくさんいる。

 そもそも私は、元妻の気持ちをわかってあげようとしていただろうか。そして息子のヒロトの気持ち、これを汲み取ってあげようとしているだろうか。

 

 力強い男に育ってほしい。これは父親のエゴかもしれない。自分の思いを押し付けるのではなく、相手の言葉をしっかりと聴く。今度ヒロトと面会をしたときには、これをやらないといけないな。

 

「今度はいかがでしたか?」

 

 その言葉で我に返った。

 

「はい、おかげさまで自分に足りないところに気づきました。私は今まで一方的に父親としての思いを押し付けすぎていました。もっと奥の深い思い、これをしっかり聴くことをしないといけない。今度息子と面会をしたときに、それをやろうと思います」

 

「本当に今度でいいのですか?」

 

「えっ、どういうことですか?」

 

「その、今度というときがいつ来るのか。確実に来るのか。ひょっとしたら永遠に来ないかもしれませんよ」

 

「そ、そんな。脅さないでくださいよ」

 

「いえ、実はこれは脅しじゃないんです。私の知っている人にあなたと似たような境遇の方がいまして。毎月お子さんと面会をするはずだったのが、相手の都合で延び延びにされてしまい、ついには連絡すら来なくなってしまったんです」