第118話 父と子と その15 | 【小説】Cafe Shelly next

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喫茶店、Cafe Shelly。
ここで出される魔法のコーヒー、シェリー・ブレンド。
このコーヒーを飲んだ人は、今自分が欲しいと思っているものの味がする。
このコーヒーを飲むことにより、人生の転機が訪れる人がたくさんいる。

「ところであなたは結婚はされているのですか?」

 

 唐突ではあるが、ホットサンドを食べながらカウンターの向こうにいる彼に聞いてみた。

 

「はい、妻と一緒にこのお店をやっています。見ての通り小さな喫茶店ですから、二人もいれば十分まかなえますから」

 

「じゃぁ、いつも奥さんと一緒なんですね。私とは正反対だ。うらやましいな」

 

「いえいえ、いつも一緒だと逆に難しいところもありますよ。小さな口論は絶えませんから。特にうちの場合、妻がまだ若いもので。考え方や価値観の違いは常に感じています」

 

「へぇ、若いってどのくらいなんですか?」

 

「実は年の差が二十歳ほどありまして。まだ二十代なんですよ」

 

「えっ!?それは驚きですね。じゃぁ、話が合わないことが多いんじゃないですか?私も会社で若い女性社員と話をしますけど、なんか話を合わせるのが難しくて」

 

「そうなんですよ。だからといって、それをそのままにしておくと一緒には暮らせませんからね。その都度きちんと話し合って、お互いの考え方を合わせるように努力はしていますよ。でも、私の健康オタクだけは理解してもらえないようで。妻はどちらかというとぐうたらですからね。今日もゆっくり寝てるはずです」