第118話 父と子と その14 | 【小説】Cafe Shelly next

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喫茶店、Cafe Shelly。
ここで出される魔法のコーヒー、シェリー・ブレンド。
このコーヒーを飲んだ人は、今自分が欲しいと思っているものの味がする。
このコーヒーを飲むことにより、人生の転機が訪れる人がたくさんいる。

「私は再構築を願ったのですが。けれど、向こうのほうから離婚してくれと言われまして。おかげでなんだかんだと調停で揉めましてね。私としては親権は仕方ないとしても、息子には自由に会わせて欲しい。それを願ったのですが、結局月一回の面会で落ち着きました。こういう場合はどうしても母親側の方の意見が通っちゃうんですね」

 

 今更ではあるが、やはり私が息子のヒロトをみたかった。けれど、仕事もあるし昼間面倒を見てくれるような人もいないし。それは叶わぬ想いであることは十分承知している。

 

「離婚の理由はどうあれ、あなたが息子さんに対して強い思いを抱いているのはよく伝わりました」

 

「ありがとうございます。私は今でも再構築を願っています。あんな元妻ですが、やはり愛した人ですから。だから、せめて息子には元妻を守って欲しい。そのための男らしさを身に付けて欲しい。そう願っているんです」

 

「その気持ちはとても素晴らしいと思います。あ、ホットサンドすっかり冷めちゃいましたね」

 

「はははっ、話するのに夢中になってしまいました。せっかくなのでいただきます」

 

 冷めたとはいえ、ホットサンドはとても美味しい。かなりお腹も空いていたからな。