第97話 握る手、離す手 その15 | 【小説】カフェ・シェリー

【小説】カフェ・シェリー

ここは喫茶店、カフェ・シェリー。
登場するのは40代の渋いマスターと20代の店員マイ、そして主人公はお客様であるあなた。
そこで体験する、魔法のコーヒー「シェリー・ブレンド」の味で、お客様は何かに気づき、そして希望を持っていく。
そんな喫茶店のお話です。


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「ということは、おばちゃんは新しいものを望んでいるってこと?でも、何に対して新しいものなのかなぁ」

 

 のりちゃんの言うとおり、この点が私にはわからない。新しい家電製品でもないし、新しい洋服でもない。私はなんに対して新しいものを望んでいるのだろうか。

 

「一つお尋ねしてもいいですか?」

 

 マイさんがそう言ってくる。

 

「はい、なんでしょうか?」

 

「ひょっとしたらですけど、随分前から何か執着しているものってないですか?」

 

 随分前から執着しているもの。そう言われて思いつくのは一つだけ。死んでしまった息子のこと。でも、それを今のりちゃんの前で口にしたくない。

 

「まぁ、あるにはあるのですが…」

 

 すると、マイさんは私の様子を見てなのか、こんな提案をしてきた。

 

「もしよろしかったらですが。私、カラーセラピーというのをやっています。このお店が閉まる夜の七時から予約制なのですが。そこでお話するのはいかがでしょうか」

 

 以前、私は心の病にかかっていた時にカウンセリングには通っていた。あのとき、死んでしまった息子のことへの後悔の念を話すことで、少しは気が楽になったことを思い出した。

 

「そうですね、そうさせていただけるのであれば。ぜひ」

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