「ということは、おばちゃんは新しいものを望んでいるってこと?でも、何に対して新しいものなのかなぁ」
のりちゃんの言うとおり、この点が私にはわからない。新しい家電製品でもないし、新しい洋服でもない。私はなんに対して新しいものを望んでいるのだろうか。
「一つお尋ねしてもいいですか?」
マイさんがそう言ってくる。
「はい、なんでしょうか?」
「ひょっとしたらですけど、随分前から何か執着しているものってないですか?」
随分前から執着しているもの。そう言われて思いつくのは一つだけ。死んでしまった息子のこと。でも、それを今のりちゃんの前で口にしたくない。
「まぁ、あるにはあるのですが…」
すると、マイさんは私の様子を見てなのか、こんな提案をしてきた。
「もしよろしかったらですが。私、カラーセラピーというのをやっています。このお店が閉まる夜の七時から予約制なのですが。そこでお話するのはいかがでしょうか」
以前、私は心の病にかかっていた時にカウンセリングには通っていた。あのとき、死んでしまった息子のことへの後悔の念を話すことで、少しは気が楽になったことを思い出した。
「そうですね、そうさせていただけるのであれば。ぜひ」