第97話 握る手、離す手 その16 | 【小説】カフェ・シェリー

【小説】カフェ・シェリー

ここは喫茶店、カフェ・シェリー。
登場するのは40代の渋いマスターと20代の店員マイ、そして主人公はお客様であるあなた。
そこで体験する、魔法のコーヒー「シェリー・ブレンド」の味で、お客様は何かに気づき、そして希望を持っていく。
そんな喫茶店のお話です。


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 セラピーは来週の月曜日の夜に受けることにした。のりちゃんは私がどんな執着を抱えているのか、それに興味があったようだ。けれど、マイさんがのりちゃん自身の願望を高めてくれたおかげで、そのことはどこかへ飛んでいってしまったようだ。

 

 自分の心の中を話すことができる場。こういったのは久しく体験していない。鬱になったときには病的な治療だったが、今は気持ちが違う。それに、私自身もっとマイさんと話をしてみたいという気持ちもあった。

 

 帰ってから夫に、カフェ・シェリーであったことを話した。

 

「へぇ、そんな喫茶店なんだ。オレもいつか行ってみたいな」

 

「うん、とてもいい雰囲気だったから。土日もやっているみたいだから、今度おやすみの時に一緒に行ってみない」

 

「育美、なんか変わったね」

 

「えっ、変わった?」

 

「うん、お前から何処かに行こうなんて誘いがくるなんて。今まではオレのほうがいろいろと誘っていたけど、なかなか乗り気になってくれなかったし」

 

 そう言えばそうかもしれない。私の心の中には、私だけが楽しんではいけないという思いがずっとはびこっていた。それが今日は、そんな気持ちがどこかへ飛んでしまっていた。なんだか不思議な気持ちだ。

 

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