ドラクエ3冒険日記(13) | カインの冒険日記

カインの冒険日記

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渇きの壺を手に入れたかいん。
これで最後の鍵が手に入る、と、
意気揚々と船に乗り込む。
が、もちろん最後の鍵の祠の場所がわかるわけではない。
初心に戻って、ポルトガからの船旅を始める。

船をもらってすぐにジパングに行ったので気付かなかったが、
ポルトガの対岸には、
ひっそりとした祠があった。
祠の中にはひとりの男がいて、
オーブを6つ集めると船が要らなくなる、
という不思議な話を聞かせてくれる。
なるほど、確かに不思議な話ではあるが、
かいんはいまだ、オーブを見たことがなく、
それがどんなものか、どんな価値のあるものなのか、
よくわからない状態にあった。
一方で、男は、
南の大陸について教えてくれたので、
かいんは素直に従い、
やがてテドンという村を見つけるに至った。

テドンは呪われた村。
日中は廃墟の村であるが、
日が没すると、かつて繁栄していた頃の村の姿を取り戻す。
かいんは、はじめ戸惑ったが、
村の兵士から、その戸惑いを忘れるほどの重要な情報を耳にした。
この大陸を東に回って川を上ると、
火山の火口があるというのである。
それは、父オルテガの最期の場所、という意味である。
かいんは居ても立ってもいられず、
すぐに船を出し、火山の火口へと向かう。
テドンの牢屋の壁に囚人が書き遺したであろうオーブの情報など、
かいんには些細なものであった。


船で火山を目指しながら、かいんは考える。
火口に今でもオルテガがいるとは思えない。
しかし、父が死んだとも思いたくない。
噂では、父オルテガは火山に落ちて死んだことになっている。
しかし、その噂の真偽は定かではない。
噂を流したであろう目撃者もまた、
その所在が不明だからである。
オルテガに同行者がいたという話は聞いたことがない。
そう、オルテガが、
ひとり旅であるがゆえに命を落としたと思ったからこそ、
アリアハン王はかいんには仲間を連れるように助言したのである。
オルテガがひとりであったことはほぼ間違いない。
では、ひとり旅のオルテガを監視する者がいたのか。
そうは思えない。
なぜなら、監視者もまた身の危険があるわけで、
ひとりで監視していた者がいたとしたら、
それはオルテガと同等の強さが要求されることになる。
それほどの者が2人いながら別行動するはずはない。
もちろん、3人でも4人でも同じことである。
別々の場所で個別の作戦を遂行しているならまだしも、
同じ場所へ向かっているのである。
強力な敵と戦おうとしているのに、
わざわざ戦力を分散するはずがない。
つまり、情報を繋ぎ合わせると、
オルテガが火山に落ちたのを見た者などいない、ということになる。
そう考えると、
オルテガ死去の報を流した何者かは、
実は味方ではなく、敵だったのではないか、
という仮説を立てることができる。
人間側の士気を挫くために、
戦略的にバラモス側が流した情報だとも考えられる。
そして、情報の主が敵であるならば、
その情報が嘘である可能性も大いにある。
人間側に不都合な情報であれば、その真偽は重要ではなく、
また、偽だと見抜かれたからといって、
別段バラモスにとって都合が悪いことでもない。
あながち的外れな仮説でもない、と思える。
この仮説が間違っていると判明するためには、
火山の火口でオルテガの遺体を発見することしかあり得ない。
遺体が発見されれば、
間違いなくオルテガは死亡していて、
かいんが考えた仮説は全くの間違いだったことが証明される。
しかし、遺体がなければ、仮説は生きたまま。
火山に落ちて遺体も残らなかった可能性もあれば、
仮説どおり、火山に落ちたというのが偽情報である可能性もある。
もっとも、
同行している者がいたのに、
オルテガの身なりがなんかヤだから別行動を取ってた、
などという可能性も残されているのではあるが。
もっとももっとも、
仮に遺体が発見されたとしても、
これはオルテガではなくてカンダタだ、
と、かいんは言い張るに違いないのではあるが。

そうこう考えているうちに、船は火山付近に到着する。
よし、火山から半径100メートルをローラー作戦だ、
とばかりに、かいんは虫眼鏡を4本取り出した。
おいおい、と、あだむ。
肉片を探してDNA鑑定をして、
お前の皮膚のDNAと照合するわけじゃないだろう、と。
目視で半径500メートルを探すほうが、まだ現実的ですよ、
と言うのはあべる。
すでに虫眼鏡を受け取った後に、
な、なんちゃって、
と、そそくさと虫眼鏡を返すのがいぶ。
後の時代に「タカの目」という、
空から地上を見渡せる技術が開発されるのではあるが、
この時代は、まだそれを知る者はいない時代であった。

125000π平方メートルの捜索の結果、
半ば当然なことではあるが、
オルテガの遺体は見つからなかった。
仮説が否定されなかったことをひとまず喜び、
かいんは、さらなる旅へと海原に戻った。


アリアハンから船で南東に進んでいるときに、
かいんはルザミという小さな村を見つける。
ルザミには、哲学者と予言者がいた。
哲学者は不思議なことを言う。
「地面は丸くてぐるぐる回っているのです。でも誰も信じてくれず私はこの島に流されました。しかしそれでも地面は回っているのです。」
では、地面はいったいどんな形なのかと問うと、
全くわからない、非常に興味深い、などと繰り返す。
不思議な人物であり、異端の学者であった。
しかし、異端であったからといって、
発言が虚であるということにはならない。
かいんは、学者の発言の真偽を確かめることにした。
かいんはまず、
ルザミから出発し、船で東へと向かった。
氷の大陸を迂回して、さらに東へ東へと進む。
すると、またルザミに到達した。
ルザミから東に進むと氷の大陸があり、
氷の大陸をさらに東に進むとルザミがある。
それはすなわち、地面は丸くてぐるぐる回っていることになる。
次にかいんは、
一度アリアハンに戻り、北へと船を進めた。
船はジパングを通過し、ムオルを横切り、
またアリアハンに到着した。
ジパングはアリアハンの北であり、
ムオルはジパングの北であり、
アリアハンはムオルの北であった。
極は無く、南北も繋がっていた。
異端の学者の言は真実であった。
地面は丸くて、ぐるぐる回っているのだ。

一方で、
予言者の言もまた気になるものであった。
魔王の神殿はネクロゴンドの山奥にあり、
サイモンが持つガイアの剣を火口に投げ入れて道を開く、
と言うのである。
バラモス、ネクロゴンド、サイモン、ガイアの剣。
かいんの頭の中で、
パズルのピースが合わさったような気がした。

ところで、
ルザミの東の氷の大陸には祠があって、
2人組のエルフがタマゴを守っていた。
6つのオーブを台座に捧げると不死鳥ラーミアが蘇る。
そうエルフたちは言った。ハモりながら言った。
ここに来て、かいんはようやくオーブの役割を知ることになる。
またパズルのピースが合わさった。
6つのオーブ、不死鳥、船が要らなくなる。
そうか!
蘇った不死鳥がガイアの剣を携えたサイモンとともにネクロゴンドへ行ってバラモスを倒すのか!
だからもう船で旅する必要がなくなるのか!
なるほど!
もしかしたら、
サイモンのほうもオーブを集めているのかもしれない。
とするならば、
ここで待っていれば、いずれサイモンとも会える。
とは言え、
6つあるオーブを6つともサイモンが集めてしまったとあれば、
1個も捧げていない僕は立場が弱くなってしまうじゃないか。

なんとも他力本願な上に見栄っ張りな想像をしてしまったかいん。
しかし、
ふと、ジパングのときのことを思い出す。
そういえば、ヒミコは宝玉を持っていたとかいなかったとか。
もしそれがオーブなのだとしたら、
先んじて1個目のオーブを捧げることができる。
やまたのおろちを倒してジパングを救えば、
ヒミコは褒美としてオーブをくれるかもしれない。
先日痛い目を見させられたおろちではあったが、
オーブの価値がわかった今、かいんの意気込みは急上昇した。
思うが早いか、
かいんは再びおろちと対面し、
眠らせた上に氷漬けにして、あっという間に倒してしまう。
このほどヒャダルコを覚えたいぶの呪文の前に、
おろちはもはや敵ではなかった。

おろちを倒したことで、
ヒミコに褒美をもらうつもりだったかいん。
ところが、ヒミコは大怪我をしていて、
しかも、ヒミコこそがおろちであったことが白日の下に晒された。
ヒミコはおろちからジパングを守っているのではなかった。
ヒミコとおろちが組んでいるのでもなかった。
ヒミコがおろちだったのだ。
手負いのヒミコは、かいんに襲い掛かるも、
もはやかいんに敵うはずもなかった。
つい先ほど自分が落としたばかりの草なぎの剣に切り刻まれ、
絶命するのであった。


さて、
褒美としてもらうつもりのオーブを
ヒミコを殺して強奪してしまったかいん。
複雑な気持ちで、
パープルオーブを手に入れる。
ジパングの人々は、かいんに感謝をしたが、
当のかいんは戸惑いを隠せず、
居心地の悪い場所を逃れるかのように船を出した。
向かう先は、もちろん不死鳥の祠。
第1のオーブを捧げながら、
まだサイモンが来ていないことにホッとする。
1歩リード。
と、心の中でニンマリするかいんであった。

それはそうと、
ルザミの異端の学者の発言を確かめている間に、
浅瀬の祠で最後の鍵を見つけていた。
そして、ツンドラの島で、
サマンオサ王が持っている変化の杖を欲しがる老人に会っていた。
オーブを探して、サイモンを求めて、オルテガを追って。
不死鳥とバラモスはサイモンに任せて。
最後の鍵によって世界は広がって。
サマンオサという初めて耳にする国の存在を知って。
今、かいんの冒険は、
世界を巡って宝を探す旅へと変貌を遂げようとしている。


おろちを倒したことで、
戦士として、魔法使いとしての実力を十分発揮したとして、
念願叶って、
あだむは賢者に、
いぶは武闘家に転職した。
あべるはまだ転職するわけにはいかない。
強くなりたいわけじゃない。
魔王を倒したいわけじゃない。
商人として店を持ちたい、町を作りたい、
という夢に向かっているのだから。
かいんももちろん転職を望んではいないのであるが、
サイモンにバラモス討伐を委ねた気分になった今、
かいんが勇者として何をするのか、
誰にもわからないことである。



かいん(勇者・男):レベル21、HP163
あべる(商人・男):レベル23、HP162
あだむ(賢者・男):レベル11、HP103
いぶ(武闘家・女):レベル1、HP49
オーブ:パープル






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