ドラクエ3冒険日記(12) | カインの冒険日記

カインの冒険日記

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ジパング人の出で立ちは不思議なものであった。
かいんが今まで旅をしてきたどの国とも違う、
特殊な風貌をしていた。
そして、
その風貌の違いは、
ジパング人から見てもすぐにわかるもののようで、
かいんが話しかける度に、
「ガイジン」と謗りを受けることとなる。

インターナショナル。
グローバル化。
世界対応ケータイ。
WBC。
TPP。
ここジパングには、
そんな言葉は存在しない。
なぜなら、この国には、
「鎖国」という一風変わった制度があり、
海の外からの物流が完全に排除された世界だからである。

そんな国内事情がありながら、
その禁を犯してまで大陸へと助けを呼びに来ていた男は、
振り返ってみても、国想いの素晴らしい人物だと、
かいんは思った。

この国ジパングは、
ヒミコという女王によって統治されており、
ヒミコは民衆から大いに支持される存在であった。

あるときから、この国は、
やまたのおろちという怪物に襲われるようになった。
やまたのおろちは、ジパングを喰らい尽くす存在であると、
人々に恐れられた。
そんな折りに、ヒミコが解決策を打ち出した。
生贄を捧げよう、というのである。
若い娘をおろちに差し出すことで、
ジパングへの侵略を阻止する。
ヒミコの解決策は、そういうものだった。
生贄を渡しておろちと交渉しているのか、
生贄の命をもって自らの呪術を強化しておろちを封印しているのか、
それを知る者はいなかった。

今回、
その生贄に抜擢されたのが、やよいという若い娘。
やよいは、生贄の祭壇に縛りつけられ、
その生涯を終えようとしていた。
しかし、
その姿を不憫に思う若い男によって助けられた。
男は、やよいを縛る紐をそっと緩め、
やよいは、男に感謝して祭壇から逃げた。
祭壇を離れたやよいは、
ある地下室の奥の壺の中に隠れた。
やまたのおろちが去るのを壺の中で待った。
ジパングの誰も、やよいを見つけることができなかった。
やよいは、これで自分は助かるのだと思った。
ところが、
そんな儚い希望を知らない4人組のガイジンによって、
やよいは発見されることとなる。
そう、かいん一味である。
かいんは、
壺を見たら調べずにいられないという、
勇者として最も重要な特性を持っていたのである。

さて、
そんなつもりじゃなかったのに、
期せずしてやよいを発見してしまったかいん。
勇者である以上、
この哀れな娘を放っておくわけにもいかない。
諸悪の権化やまたのおろちの前へと、急ぎ足を運んだ。
そして、業火に焼かれ、意識を失った。

次に気がついたときには、
アリアハン王に、ふがいない、と説教をされていた。
かいんは、先の戦いを思い返す。
かいんは、ある神話を聞いたことがあった。
おろちは眠らせてから倒すのだ、とかなんとか。
それを参考に、
かいんはラリホーを連呼して戦った。
確かにおろちはよく眠ったが、
それで勝てるわけでもなかった。
たまに目覚めるおろちの圧倒的な攻撃力に、
かいんたちは手を打てずにいた。
薬草なんて食べている場合ではないのではないか、
そう思いつつも、それ以上の回復手段がない。
寝起きのおろちは機嫌が悪かった。
そのおろちの不機嫌なる牙と炎を浴びて、
かいんたちは沈んだのだった。

王の間を出てから、かいんは思った。
やまたのおろちは5本首。
僕らのパーティーは4人。
5対4だから負けたんだ。
酒場に行って、もうひとり仲間を増やせばいいのではないか。

思うが早いか、
かいんはルイーダの酒場に駆け込んだ。
そして、
「そんなにゾロゾロお仲間いるのに?」
と、ルイーダ女史に小バカにされることになる。

そう言われてしまうと、身も蓋もなく、
かいんは、あっという間に、この件を諦めてしまった。
やよいさん、ゴメンね。
僕たちには、おろちは倒せないみたいだ。
かいんは、やよいの冥福を祈るばかりだった。
そこにオーブがあることも、
オーブとは何なのかも、
まだかいんが知る前のことであった。


さて、
ジパングを諦めたかいん。
気を取り直して、
アリアハンから船を漕ぐ。
そう、世界は広い。
ジパングだけが世界じゃない。
僕たちの旅の目的はバラモスだ。
やまたのおろちではない。
と、都合のよいことを考えながら海を行く。
おろちを倒せなかったらバラモスも倒せないかも、
などということは、
かいんの脳裏には存在しない考えであった。


アリアハンを西に進むと、
ランシールという島国がある。
「私は道具屋の娘なんだけど、消え去り草を買ってね。」
という路上勧誘にあったかいんは、
よくわからないアイテムを高額で買ってしまうことになった。
薬草37個は買えるほどの、高級葉草である。
そして、
そこにタイミングよく情報を教えてくれる中年男。
ポルトガの北のエジンベアという国に、
消え去り草を持って行くとよい、と。

なるほど。
ポルトガの王様が黒胡椒を求めたように、
エジンベア王は消え去り草を求めるのか。
かいんは、
ひとり納得しながら、海路を行く。


ここはエジンベア城。
王に消え去り草を献上すべく、
かいんは入城しようとする。
しかし、
そこには城門の門番が立ちはだかる。
田舎者は通さない、と言うのである。
最初は、
そんな門番などスルリと抜き去ろうと思ったものであるが、
この門番の鉄壁のディフェンスの前に、
かいんは手も足も出せなかった。
何度挑戦しても、一向に鉄壁を突破することができず、
頭に血が上ったかいんは、
本末転倒なことに、
王に献上すべき消え去り草を自分の口に入れて飲み込んでしまう。
消え去り草の効果で、
見事に姿を消して鉄壁を通過したものの、
王のために持ってきた草を
王に会うために使ってしまった事実を振り返り、
反省しきりのかいん。
「わしは心の広い王様じゃ。田舎者とて、そなたをバカにはせぬ。」
というイヤミ王の嫌味にも腹を立てられずに、
すごすごと王室を後にするのだった。

ところで、
この城の地下で、
渇きの壺、という陶器を発見した。
なんでも、海の水を干上がらせるほどの壺なのだそう。
一方で、
とある祠に眠る、最後の鍵の話を聞くことができた。

最後の鍵。
それがあれば、また世界が広がるのかもしれない。
そう考えたかいんの頭の中には、
もはやジパングのことなど微塵も残っていなかった。



かいん(勇者・男):レベル19、HP146
あだむ(戦士・男):レベル20、HP180
あべる(商人・男):レベル21、HP151
いぶ(魔法使い・女):レベル19、HP92





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