ドラクエ3冒険日記(7) | カインの冒険日記

カインの冒険日記

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~とあるミイラ男の手記より~

私は生前、物書きをしていた。
だから、死んでしまった今でも、執筆することを趣味としている。
いや、死んでしまった、という表現が適切かどうかはわからない。
生ける屍と言うべきか、死せる生体と言うべきか。
手厚く葬られたはずなのではあるが、
死ぬに死ねず、生きるに生きれず、
帰る場所もなく、ピラミッドの中を彷徨っている。
ピラミッドには、多くの生きた冒険者がやって来る。
私は争いを好まないので、「生き人」からは隠れるようにしている。
なぜなら、私も生き人であった頃は、
「死に人」を恐れていたし、
敵意を持っていたのだから。
今、「死に人」である自分が、もう一度死んだところで、
別に問題ないように思われるかもしれないが、
一度死んだことがあったとしても、また死ぬことは怖いものである。
まして、私は、寿命を全うして死んだのであって、
争って死んだわけではない。
死に人になっても、痛いことが嫌いなのは変わりない。
ところが、周りには、生き人に対して攻撃的な死に人が多い。
これは、生前の性格がそのまま反映された結果かもしれない。
戦士や荒くれが死に人として蘇った場合は、
凶暴なモンスターと言われてしまうのかもしれない。
しかし、凶暴なのは生き人も同じことで、
結局は強いほうが勝ち、弱いほうが負ける。
生きた冒険者が生き続けられるか、死者の仲間入りしてしまうかは、
冒険者の腕っぷし次第、ということになるだろう。

今日また、生きた冒険者が宝を探しにピラミッドに足を踏み入れた。
冒険者は4人組で、女も1人いるようだ。
私は、物陰から、何気なく彼らを見ていた。
冒険者のほとんどが落ちてしまう落とし穴に、
彼らも落ちるのだろうと思い、
どんな落ち方をするのか、
小さな日常の一環として、軽く目を向けていた程度だった。
というのも、この落とし穴は、
生前に大工、石工、装飾師などをやっていた死に人たちが、
精巧に精巧に、他の床と全く同じに見えるように、
手間暇かけて作り上げた逸品だからであった。
あまりに精巧な作り故に、
作った自分たちですら落ちてしまうほどで、
ここピラミッドの死に人の間では、「消える床」と評されている。
消える床は、一度誰かが落ちる度に、
また死に人職人たちが手間暇かけて作り直す。
それほど我々は時間を持て余しているし、
消える床に掛かった旅人の表情は、我々を飽きさせない。

ところが、
今日の4人組は違った。
まるで、消える床が見えているかのように、
落とし穴を回避しているのである。
職人自身でさえ気付かないほどの精巧さであるのに、
今日、初めてピラミッドを訪れた冒険者であるはずなのに、
まるで、そこに穴があることを始めから知っていたかのような、
とても身軽で軽快な足取りで、通路を進みゆくではないか。

私は、この4人組に興味を持ち、
そろそろと、後をつけて行った。
落とし穴を回避した冒険者を次に襲う罠は、人食い箱である。
これまた多くの冒険者が、この箱の餌食となる。
宝を探しに来た冒険者が、宝箱を開けないことなどあり得ず、
だからこそ、人食い箱が人食い箱たり得ているのだから。
私は、冒険者が人食い箱に襲われている悲惨な姿を
見るのが好きなわけではないが、
この不思議な旅人達が、
人食い箱に対して、どういう行動に出るのかに興味があった。
人食い箱も、もちろん職人たちが精巧に作っている。
他の宝箱との見分けなどつかないはずである。
にもかかわらず、彼らは、人食い箱には、目もくれなかった。
まるで、その中身が始めからわかっているかのように。
いや、中身がわかる呪文があることは、私も知っている。
しかし、呪文を使う素振りもなかったのである。

私は、この4人組を「すべてを知る旅人」と名付けた。
どんな精巧な罠も、最初から知っているし、
ピラミッドの複雑な迷路も、最初から知っている。
そう考えなければ、彼らの行動を説明できない。
それほど、彼らは無駄のない動きで軽快に通路を突き進む。

彼らなら、おそらく、
魔法の鍵への扉の仕掛けも解いてしまうことだろう。
しかし、私は、
結局彼らが仕掛けを解くところを見ることはできなかった。
なぜなら、私自身が、消える床に落ちてしまい、
彼らを見失ってしまったからであった。

~とあるミイラ男の手記より~


ピラミッドを攻略し、魔法の鍵を手に入れたかいん一行。
イシスに戻り、新しい扉を開く。
ある部屋で、初老の男性から、
兄が東の国に行くと言って、アッサラームに向かったまま帰らない、
という話を聞くことができた。

東の国・・・。
かいんは、魔法の鍵を手に入れた今、
実は、西のポルトガに向かおうと思っていた。
しかし、東にも行くことができるとなると、
また選択肢が増えることになる。
選択肢が増えることは喜ばしいことだが、
かいんは、最短でバラモスに辿り着くことをいつも考えている。
東か、西か。
二者択一に悩まされたかいんは、
いつものように、仲間たちの声を聞く。
しかし、声を聞いても、結局結論が出るわけでもなく、
多数決を取ることにした。

かいんの掛け声で、バラモスが居そうな方向を指差す、
という方法で多数決は行われた。

せーの!
掛け声の後、かいんが票を数えると、
東2票、西2票。
東を差したのは、かいんといぶだった。

票が別れたところで、かいんは質問を変えた。
まず、僕らが進むべきはどっち?
せーの!!
東4票。
満場一致で東に進むことが決定した。

かいんは深く考えなかったが、
最短でバラモス、と考えるかその逆か、
この多数決は、各人の性格を大いに繁栄した結果となった。


さて、東に進むことを決めたかいん一行。
早速、初老の男性の兄と同じ経路で、東の国を目指す。
ところが、アッサラームに戻って来てわかったのが、
初老の兄は、結局アッサラームに止まり、
東へは行けないでいた。
と言うのも、
東へ行くためには、ホビットの洞窟を潜らなければならないのだが、
ノルドというホビットが、通してくれないと言うのである。
実際、かいんも洞窟に足を運んだのだが、
確かに、ノルドは東への通路を教えてはくれなかった。
しかし、初老の兄は、
ノルドとポルトガ王が友達であることを教えてくれた。

なるほど。
友達であれば、
近況をアップデートして、ウォールに書き込みをすれば、
ニュースフィードを読んでくれるかもしれない。
かいんは、そんな期待を込めて、ポルトガへと向かいながら、
途中で思った。
結局、西に行くしかなかったんじゃないか、と。


かいん(勇者・男):レベル13、HP99
あだむ(戦士・男):レベル14、HP104
あべる(商人・男):レベル15、HP111
いぶ(魔法使い・女):レベル13、HP56





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