ドラクエ3冒険日記(4) | カインの冒険日記

カインの冒険日記

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カンダタからの、金の冠の奪還を目指して、
ロマリアを出発したかいん一行。
よく考えたら、大事なことを聞き忘れていることに気付いた。
金の冠さえ戻ればそれでいいのか、
犯人のカンダタを捕まえて来ねばならないのか。

仮に、冠だけ取り戻したとする。
すると、カンダタは、また冠を盗みに来るのではないか?
その場合、また取り戻しに行けばいいのではあるが、
堂々巡りしていては、
いつまで経ってもバラモスにはたどり着けない。
いや、もしかしたら、
カンダタを背後で操っている存在こそバラモスなのではないか。
かいんはそんなことを考えたりもした。
そして、またあべるに諭される。
バラモスがその気なら、ロマリア城を滅ぼすはずだし、
そもそも、
たかだか一国の王の冠などに興味を示すはずがない、と。
バラモスは全世界に手を出しているのだから、と。

と、言うことは?
やっぱり、堂々巡りではバラモスにはたどり着けない、
という理屈が舞い戻り、
冠だけでなく、カンダタを捕らえて、
ロマリア王に突き出すべきだと考えるに至った。


カンダタは、子分を引き連れて、
シャンパーニの塔にいるという。
かいん一行は、シャンパーニを目指しながら、
途中のカザーブという村へと立ち寄る。
この村では、素手で熊を倒した武闘家がいたが、
実は、素手ではなく鉄の爪を装備していたのだ、
という話が聞くことができた。
素手であろうが、武器を持っていようが、
ひとりで熊を倒したのには恐れ入るものがある。
とは言え、今のかいんのパーティーでは、
何も知らないかいんを除く3人は、
熊にあったら死んだフリ、という、
正しいのか正しくないのかわからない常識を持っていて、
結局、かいんひとりで戦うことになりそうではあるが。


さて、このカザーブで、
ある日、ひとつの事件が起きた。
それは、道具屋から、毒針と棍棒が盗まれた、という事件。
道具屋の話によると、ある朝、仕事場に行くと、
宝箱の中にしまっていた毒針と棍棒がなくなっていた、
と言うのである。
夜の間に盗まれたのは間違いないのだろうが、
夜は、必ず施錠して寝ることにしている。
夜に限らず、昼間も施錠している、と供述している。
道具屋は、供述しながら、思い出すことがあった。
それは、昼間、裏口から旅人が入ってきたことと、
その旅人は、翌日、棍棒を売りに来たこと。
昼間、裏口から侵入されたときには、
うっかり施錠し忘れたのだと思った。
しかし、翌朝、毒針と棍棒がなくなっているのが発覚し、
その直後に旅人が棍棒を売りに来た。
証拠がないので、犯人扱いもできず、
棍棒を買い上げるしかできなかったが、
非常に黒に近い旅人だと、道具屋は思った。
ロマリアでは、王が冠を盗まれたと聞くし、
物騒な世の中になったものだ、と道具屋は嘆いた。
誰か、平和な世の中を取り戻してはくれないだろうか。
「平和な世の中」というのは、いったいどういう世の中なのか。
それは、人により、思い浮かべる姿が違うようである。


カザーブの道具屋の主人の気持ちとは裏腹に、
かいんは、今、乗りに乗っていた。
盗賊を倒すぞ!
カンダタを捕まえるぞ!
もう盗みなんて真似をさせるものか!
自分がカンダタと同類だという自覚のないかいんは、
さも、正義面をして、シャンパーニの塔を目指す。

塔の頂上で見たカンダタの風貌は、
かいんの記憶から、あることを思い出させた。
と、父さん?
一瞬、かいんが父と見間違うのも無理はなかった。
オルテガの旅立ちのときの風貌と、
カンダタはよく似た格好をしていた。

カンダタはかいんから逃げた。
かいんはカンダタを追いかけた。
カンダタは、かいんをロマリアからの追手だと思っていたのに対し、
かいんは、カンダタを父オルテガだと思い込んでいた。
久方ぶりの再会なのに、何故父は逃げるのか?
父こそが盗賊のお頭なのか?
息子に合わせる顔がないと思っての行動か?
それとも、息子が成長し過ぎて、顔がわからなくなったのか?

カンダタは逃げに逃げ、
かいんは追いに追い、
やっと追いついたときに、
カンダタが、こう言い放つ。
「しつこい奴らだ。やっつけちまおう!」

戸惑うかいんに、あだむが言う。
かいん。いい加減、気付くんじゃないか?
どう考えても、あれが親父さんなわけないだろう?

確かに、どう考えても、勇者オルテガがとる言動とは思えなかった。
そう思うと、かいんは、急に怒りを感じてくる。
よくも騙してくれたな、と。
よくも勇者オルテガのフリをしてくれたな、と。

カンダタは、犯した罪とは別のところで怒りを買っていた。
理不尽な怒りの矛先となったカンダタは、
カイン一行の攻撃を受けて、
次々と仲間を失った。
ついに、3人の子分を失い、ひとりになってしまったところで、
カンダタは、手をついて誤った。
「すまねぇ。冠は返すから、ここは見逃してくれ!」

そんな頼みは受け入れられないかいん。
毒針を盗んだ自分のことは棚に上げて、
盗賊なんてものをのさばらせておくわけにはいかない、
と息を荒くするかいん。
冠はもちろん返してもらうが、
カンダタ自身も牢獄に入ってもらわねば納得できない。

「そんなこと言わずに、なっ、なっ!」
カンダタは何度も頭を下げる。
何度頭を下げられたところで、かいんは頷かない。
ここで逃げおおせたら、また冠を奪いに来るのだろう?
いや、それ以外の場所で、別の物を盗むつもりかもしれない。

「そんなことを言わずに、なっ、なっ!」
カンダタは、もうこれ以上の言葉を思いつかなかった。
繰り返し謝るカンダタに、かいんは、なおも頷かない。
そう言って、またオルテガのフリをして、僕を騙すのだろう!
かいんは、また騙されたこと思い出し、怒りが込み上げた。

「そんなことを言わずに、なっ、なっ!」
カンダタは同じことしか言わない。
かいんは、カンダタを許さず、ここで決着をつけることを決めた。
ただ、実のところ、先の戦いで、いぶが死んでしまっている。
あだむもあべるも、体力が尽きつつあり、
3対1ではあるが、戦力的にこちらが有利とも言い切れない。
戦うつもりであるのに、
かいんの頭の中で、勝つ算段ができないでいた。
かいんが頭を悩ませているのを
カンダタは、かいんが許したものと誤解した。
「ありがてぇ!じゃあな!」
カンダタの身のひるがえりは、実に鮮やかだった。
かいんの一瞬の判断遅れを突いて、
カンダタは塔から飛び降りた。
かいんは、金の冠を回収してから、
急いで、塔を飛び降り、カンダタを追ったが、
カンダタの姿は、もう見えなかった。

かいんは、苦い思いが半分ありながら、
これでよかった、という思いも抱いていた。
カンダタの身のひるがえりの鮮やかさを見るに、
まだまだカンダタは余力を残していたわけで、
もう一度戦っても勝てた、という自信がなくなっていたので。

かくして、かいん一行とカンダタの戦いは終わり、
カンダタの確保は逃したものの、
かいんは、金の冠をロマリア王へと返還することに成功した。


ロマリア王は、
冠を取り戻したかいんを認め、
王位を譲る、という話を持ちかけた。
かいんは、最初それを断ったが、
何事も経験だと王に諭され、
軽い気持ちで王位に就くことを引き受けた。

王になったかいんは、実に退屈だった。
この国の政治は、王の行いとは無関係に動いているのだと、
かいんにはわかった。
王が代わっても、政治に影響がない、ということは、
突き詰めていくと、
バラモスを倒しても、魔物の勢力に、実は影響を与えない、
ということを意味するのではないかと、
かいんは空恐ろしい気持ちになった。
だとしたら、勇者という存在は一体なんのための存在なのか。
それとも、勇者もまた替えの利く存在なのか。
オルテガがいなくなっても、
僕が勇者として旅をしていることを考えると、
僕がいなくなっても、また別の勇者が出現することを意味するのか。
かいんは、そのことで悩んだが、
結論は、至ってシンプルなものだった。
自分が、仮に替えの利く存在であるとしても、
自分は、自分のできることをやるだけだ、と。
後任者のことを考えるのは、僕じゃない。
それを考えるのは、僕がいなくなった後の人々。
僕にできることは、後任者にパスを出すことではなく、
僕自身が、バラモスを倒し、平和を手に入れることだ。

そう考えると、
かいんは、今ロマリアにとどまるわけにはいかなかった。
かいんは、先王にそのことを告げ、
王位を返還し、
再び、旅に出ることを決意するのだった。


かいん(勇者・男):レベル10、HP65
あだむ(戦士・男):レベル12、HP87
あべる(商人・男):レベル12、HP90
いぶ(魔法使い・女):レベル10、HP37





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