MI、AKIの未来は⁈ 明るいのか? | 犬好き麻酔科医ブログ

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Type 2 Myocardial Infarction—Diagnosis, Prognosis, and Treatment


MIの分類。
前にも出てますが、復習。

Type1: 典型的MIっすね。プラーク破綻、塞栓による冠動脈の閉塞が原因のもの。

Type2: 冠動脈そのものの異常より、心筋への需要と供給の乱れから起きる障害

Type3: MIが原因だと思われる死亡例。

Type4a: PCIによるMI
Type4b: ステント内部血栓

Type5: CABG関連MI

です。
で、、、
多くのものは、典型的なType1、についてのStudyなんですねー。

だが、実は、
最近の報告によると、
Type2の方がType1よりも多く存在しているらしい。
そして予後が悪いらしい。
5年生存で比べると、
Type2MIは、40%
Type1MIは、60ー65%
心不全 50ー60%
各種癌 45〜80%
と言う数値を見れば、
いかに、予後が悪いらしい疾患かがわかる。

その理由は、
高齢者、合併症持ち、血行動態不安定、Shock、頻脈、呼吸不全、消化管出血、
そして、、、手術、ね。
後は、
Type1MIは、ガイドラインがあるが、Type2には無い、とかかね。
コレを改善させることが重要なわけだが。
死亡原因は、非心臓の血管によるものが多いらしい。
かと言って、心臓血管イベントが少ないわけでもなく、5年で、30%程度は、再度心臓イベントを起こしている。
コレは、Type1と同じくらいだってさ。

で、今後の行くべき方向。

1.
診断の向上と、詳細部分の向上。
MI分類もね、そこまでメジャーじゃないし、Type2というものの市民権をね、もうちょい上げんとな。あと、心筋障害、と言うものの規定とかね。
後、どんな状況で起きるかとかね。
リアルに、周術期に起きるものとしては、Type2、が殆どだと思うけどね⁈、
その辺が、ベーター系の薬の良い悪い、に繋がってくんねん。

2.
多方面からのアプローチ。
複雑な病変があることが多いわけで、その後も、非心臓血管イベントで亡くなる率が高いことからも、全身疾患、なんだよね。
心臓だけじゃなく、多方面、でね。
循環器内科、他の専門医、外科医、専門職、シナリオに応じて、沢山の人が関わる必要がある。
心臓リハビリは、Type1では、死亡、合併症低下に効果がありそうだし、Type2にも、試されていきでしょう。
調査対象でしょうな。

3.
Type1MIに効果がある治療を、Type2MIに応用出来るか?
抗血小板薬、β遮断薬、スタチン、Type1には、効果が知られてますが、Type2へは、まだ不明だが、期待はできる。

CASABLANCA (Catheter Sampled Blood Archive in Cardiovascular Diseases) studyでは、
およそ80% の患者が、Type2MIと診断されるまでに、ASA、スタチン、β遮断、が使われていたらしい。
で、一年死亡が22%もあったと。。
有効でない、可能性も十分残る。

4.
NOACsの有効性。
MANAGE (Management of Myocardial Injury After Noncardiac Surgery) trial では、1754 patientsを対象に、
非心臓周術期心筋障害があった患者に、 110 mg×2のダビガトランとプラセボを比較した。
心筋障害患者の、19%がType2MIとされた。
(障害とMiは同義ではないよ、念のため)
で、ダビガトランで、
血管イベントが減りましたね。 (11% vs 15%; P = .01)
出血の副作用はなさそうでしたね。(3% vs 4%; P = .76),
つまり、
Type2MIに、ダビガトランという選択肢の可能性があるわけだ、と。
検討対象、でしょうな。

5.
冠動脈の再建、はどうだろう?
Type2に対する再建の効果は、Studyで異なる。
Type2後に、5年で30%もの、心臓血管イベントがあると言うことは、Type2の内、閉塞冠動脈疾患がある場合は、有効な手段かも知れない。

6.
公共衛生からのアプローチ。
退院後ケアも、重要だ。
おそらく、再入院率は高かろう。

Conclusions
Type 2 MI は、Tropとなどの普及により、より注目される疾患であり、思いのほか、多く存在しているが、未だ診断が不十分だ。
だが、診断、治療、予後、と言う、重要な点は、まだまだ不明の領域であり、今後、調べないかん、領域だと。
むう、、、
周術期、だとね、これが一番機にするポイントだけど、循環器内科、というかカテーテル医にすりゃ、カテで片付かないMIは、おまけみたいなもんだからなあ、、、。
ま、
気いつけて。いっぱいおるけんね。
気づかれないだけで、、、、ね。




Progress in Prevention and Treatment of Acute Kidney Injury
Moving Beyond Kidney Attack


2012年。
AKIをもっと注意しようぜ、的なノリ。
heart attack= MI
brain attack =stroke、
みたいな感じで、
Kidney Attack = AKI、
みたいなノリでね。

Attackってつくとね、
緊急であるとか、重要だとか、従来のAKI、という響きより、ソワソワすんじゃね、みたいなね。
色々、、、考えますな。

しかもね、AKIときたら、、、、
一向に予後を改善する方法が出てこない。
そりゃ、興味も薄れるわ、みたいなとこもあるしね。
急いで治療(MIならカテーテル、Strokeならカテーテルや、血栓溶解)、という対象でないとこが、Attack、みたいな響きに適さんのかなー。

だが
AKIは、よく起きる疾患であり続けている。
年、100万人あたり6800人だってさ。
コレは、MI(100万人あたり6000人)より多いんだって。
しかも、死亡は増える。
AKIの有無で、7倍違うというデータもある。


AKI治療は施設で異なる。
KDIGO AKI guidelineに沿った、バンドル型治療の一施設報告がある。
276 patientsが、心臓手術を受けた。
バンドル治療により、AKIは、
71.7% から 55.1% へ、有意に減少したという。
ま、、、、多すぎですが、重症ということです。

一般外科手術 121 patientsの報告では、
バンドルで差は出なかった。
バンドル (31.7%; 19 of 60 patients)
標準 (47.5%; 29 of 61 patients) (P = .08),
ま、、、高すぎ、、、ですが。
moderate to severe のAKI に限れば、
バンドルで低下したと。
6.7% (4 of 60 patients) vs 19.7% (12 of 60 patients) (P = .04;
OR], 3.4 [95% CI, 1.04-11.3]).

どのStudyも、バイオマーカーを用いていた。
詳しくは知らんが、尿中 [TIMP-2] × [IGFBP7]、だってさ。

240名の報告で、
remote ischemic preconditioningが、AKIを減らすという報告がある。
(37.5%) vs (52.5%;
ARR, 15% [95% CI, 2.6%-27%]; P = .02),
一方、差がなかった報告もある。


AKIを予期することはできなくても、
早期に診断することは利点がある。
50万人にも及ぶ、Before、Afterで、
コンピュータによる早期診断システムは、
AKI診断を早め、死亡を低下させる可能性を示した。
AKI患者のそ死亡率は、 10.2% 🆚 9.4%
(OR, 0.91 [95% CI, 0.86-0.96]; P = .001) 。
へ、低下した。
『AKI rapid response team 』、という早期の反応をするチームについても考えられている。

神毒性物質を避ける、こともまた重要です。
生理食塩水とバランス細胞外液、、、、などね。
生理食塩水は、なんだかんだ、不明ではありますが、あまり良くなさそうな風潮ですもんね。


severe AKIでは、透析となるかも知れない。
その開始タイミングは、まだ不明。
早期に始めた方がいいとする報告もある。
90日死亡が減った、とする報告もある。
(44 of 112 patients [39.3%]) 🆚
(65 of 119 patients [54.7%];
HR, 0.66 [95% CI, 0.45-0.97]; P = .03). 。
が、、、、
RCTで、
早期🆚様子見、で、
60日死亡
150 of 311 patients (48.5%)🆚
153 of 308 patients (49.7%)
(P = .79). と、差がなかった。
コレは、緊急透析症例を除いた患者でのデータだった。
特に重要なのが、
待機群では、51%しか、透析しないで済んだ、ということだった。
で、49%の透析しないで済んだ群が一番予後が良好だった。ま、、、だよねー。
つまりは、
早期透析がいい患者と悪い患者がいる、、、と。
ま、わからんてことね。
まだまだ、コレからっす。

最近は、
AKI進展に関連する因子、治療についての研究が多い。
しかあい、予防、治療、どちらも現在まで効果的なものは見つからず。
特に、
AKIバイオマーカー、自動コンピュータ勧告システム、ケアバンドル推奨、などについて、
より多くの研究が必要だ。
また、
原因別(Sepsis、心臓手術、など)に分けての、Studyが必要な可能性がある。
さて、、、、
認知度は格段に上昇、、、、
研究も増えた。
が、、、、
結論は、ここ10年、まだ出ず。
次の10年、、、、でもまあ、無理かもだけど。
それでも、歩みは止めちゃならん。
頑張りましょい〜。

デワデワ。