早いが一番‼︎ | 犬好き麻酔科医ブログ

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海外臨床留学麻酔Dog、カブリオレのお送りする、
最新論文から、医療の未来像まで。
日々精進。

今週のLancetは、濃いい内容でした。
ま、OnLine時点で既に見ちゃってたけん、
残ってるのはコレ、かな。



Effect of treatment delay on the effectiveness and safety of antifibrinolytics in acute severe haemorrhage: a meta-analysis of individual patient-level data from 40 138 bleeding patients


Background
抗センヨウ。
外傷や産後出血(心臓手術も入れてくれ)による出血死を減らしてきた。
ただ、投与時期が遅れると、、、、って話はよくある。

Methods
急性出血に、抗センヨウを使用したRCTで、
患者数が1000以上のもののメタ解析。
1946ー2017年4月まで。

Findings
40 138 patients を2RCT(外傷と産後)
(ま、Crash2とWomanの2つでしょうねえ)
で、
3558名の死亡があった。
この内、
1408 (40%) が、出血による死亡だった。

ほとんど (884 [63%] /1408) の出血死亡は、
発症から12時間以内に起こっていた。
特に産後は、2ー3時間にピークがあった。

Txaは、
出血による死亡を下げた。
[OR] 1·20, 95% CI 1·08–1·33; p=0·001

Txaの投与が遅れると、効果が減った。

即時の治療は、70%も生存を上げた。
OR 1·72, 95% CI 1·42–2·10; p<0·0001

そして、、、、、
生存効果は、
Txa投与が15分遅れる毎に10%づつ、
最初の3時間に渡り、減少した。
3時間以降は、無効となった。

投与が遅れても、血栓イベントは変わらなかった。

Interpretation
出血死は、発症後早期に起きる。
そして、少しでもTxa投与が遅れると、効果も減る。
患者へは、即座にTxaを投与すべし。

って結果。
ま、どっちのTrialの結果も知ってる人は、
さもありなん、、、ですか。

心臓手術は触れられてないけど、
一緒。
よく術後に投与する人いるけど、、、ね、なんだかなあ、
Txaの論文、読んでます⁈、って。
ま、異論もあるけど、
早期に投与する事が一番大事さね。
それが〜〜一番〜大事〜〜。





Tranexamic acid: is it about time?

むかーし昔、、、
Txaは、血友病患者の抜歯などに使われていましたとさ。
そして、
術中術後にも、世界中でナーンとなく、使われていました。
で、
最近じゃ、外傷、産後出血では、Hero、だぜえええ。
CRASH-2WOMAN、では、
出血死を減少させましてん。
両者で言われたのは、
3時間超えると、効果ない、、、とか、
寧ろ悪いとか、、、ね。

Txaは、 plasminogen と、 plasminに結合して、抗センヨウ効果を示す。
Plasminは、また、炎症、血管新生、創傷治癒にも関連している。
ということで、、、
Txaは、
血管内皮に保護的に働き、虚血、再還流に対する効果があるかもしれない。
ただ、、、
炎症反応が減る、、、ってのが悪い時もある。
(遺伝子とか、サイトカインで調べたTrialがあんだって)

でも、
凝固、センヨウもね、
過凝固に始まり、、、センヨウ亢進、、、そしてfibrinolysis shutdown.、もあるしね。
今どこにいるの⁈ってのを
リアルタイムで評価できるもんは、、、まだねえ。

おそらく、
発症後1時間以内に、センヨウ亢進は終わる。

おそらく、数時間以内に出血死するのは、
hyperfibrinolysis 、の状態にある人で、
Txaが最も効果がありそう。
だから有効だってデータが出るのはごもっとも。

一方、
脳外傷、多臓器外傷では、
出血よりも、shutdown of fibrinolysis、が問題となる。
Txaは有効性は低そうだ。

どのStageの患者であるか、を見極めるモニター、(TEGとか、、、かねえ)
Hyperであれば、出血死を減らすためTxaを一刻も早く投与する、
炎症や、それ以外にも有効かは、今後も調べられる。
TEG、ROTEMが、有効に使えるか、も、今後の課題、だって。

両方Lancet。
この雑誌は、Txa好きなんだよねー。
心臓手術で、日本でBigデータとかね、取りたいけどねえ、、、
施設間の熟練度が圧倒的に違うけん、、、
日本では、無理だろな。