クライアントさんに「どうしてカウンセリングに?」とお聞きすると、「誰かに話を聞いてほしかった」と言っていただくことがあります。
「誰かに話を聞いてほしい」というのは意外と奥深くて、そこにすでにたくさんの生きづらさが詰まっていたりするんですよね。
言葉をそのまま受け取ると、周囲に話を聞いてくれる人がいなかったのかもしれないな~とか、自分の本当に苦しいことってなかなか身近な人には打ち明けられないよな~、程度の理解になってしまうんですが、
もう少し話を聞いていると、対人不安がとても強いことが見えてくることがあります。
つまり、他人とのちょっとしたやり取りだけでも、
後から「言い方がまずかったかもしれない」とか「言わなきゃよかった」とモヤモヤ考えて、今更どうにもならないのに、その場面を何度も脳内でやり直してみたり。
些細な相手の表情の変化にも不安になって、「何かしたかも」「私は嫌われたかも」と考えて落ち着かなかったり。
服屋の店員や美容師とおしゃべりすると、もう次からそのお店には行けなくなってしまったり。
対人不安は、「自分という存在への不安」とも言いかえることができます。
自分が確立していなくて、他人が回す世界の中でとてももろい存在になっている。
だから、他人に自分の相談話がしにくいんですね。
もれなく「自分ばっかり喋ってしまった」「重い空気にしてしまった」「言わなきゃよかった」という一人反省会がついて回るので、すっきりもしなければ、楽しくもなれないんです。
対人不安のある人が言う「誰かに話を聞いてほしい」というのは、周りに話を聞いてくれる人がいるかどうかは関係なく、「他人にどう思われたかビクビクせずに話したい」という意味だったりします。
カウンセリングの「50分」という時間の決まりが、そういう方にはむしろ安心材料になっているみたいですね。
カウンセリング時間が決められているという事は、逆に「その時間以内なら話しても大丈夫なんだ」と思えるからです。
そして「自分ばかり話しすぎた」と自分を責めずに済みます。なぜならここはカウンセリングだから。
「話していい」が約束された場所から対話をはじめて、そこに隠された対人不安を少しずつ解消していく。
次第に一人反省会をしなくてもよくなって、状況は何も変わらないのになんだか生きやすくなっていく。
そんなステップもいいですよね。
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