さて、被害妄想に対して「加害妄想」というものも存在します。
加害妄想とは、「自分が誰かに危害を加えているのではないか」という考えです。
例えば、
「すれ違っただけで、誰かに嫌な思いをさせたのではないかと思う」
「自分が美容院に行くと、美容師に恥をかかせている気がする」
「ことあるごとに、自分が何かやってしまったのではないかと思う」
これらも、広い意味では加害妄想的であると言えます。
「誰かに攻撃された」という被害妄想と、「誰かを攻撃した」という加害妄想は、一見真逆のように見えます。
でも、この二つの考えを同時に持っている人達がいます。
それが、「すべての原因が自分にあると思ってしまう人」です。
つまり、「周囲に笑われる」という被害妄想に対して、
例えば「私の言動がおかしいから」と思う。
「周囲を傷つけた」という加害妄想に対して、
例えば「私が醜いから」と思う。
「自分の存在が何かおかしくて、不幸の源になっている」。
そんな、漠然としていて巨大な不安感を抱えています。
このタイプの方は、「自分が悪い」という一点に対してかなり頑固です(笑)。
「それ多分被害妄想かもよ」という一言が届きません。
「そうかなあ…でも…」
「そう言われるんですけど、でも…」
と100%返ってきます。
本人も、なんとなく「常識的に考えて、いつも笑われるっておかしいよな…」と思わなくはないんですが、
「自分がおかしいから」という壁が立ちはだかって、受け入れられません。
「でも」の後に続くのは、
「でも(私がおかしいことを先生は知らないからそう思うんでしょ)」
「でも(先生はカウンセラーだから偏見が無いんでしょ)」
「でも(実際に笑われているように感じるんだけどな)」
という言葉です。
続きます。
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