記憶のささやき3 | 仙台駅前にあるカウンセリングルーム まきび

仙台駅前にあるカウンセリングルーム まきび

開設から18年。不安感・対人関係・恋愛・トラウマについて小さなご相談から改善に向けた専門的な分析・心理療法によるカウンセリングまで幅広く承ります。仙台駅前パルコ2から徒歩1分のビル内にある看板のないカウンセリングルームです。Zoom、スカイプ、お電話でも承ります。

しぼんでいく私がついになくなってしまうと、
悲しみや胸の痛みはおさまっていた。

そして開けた草原にたどりついた。
遠くに小川が見えたので、そこまで行ってみることにした。

 以前にもそこにいたことがあったような気はしたが、
はっきりと思い出すことはできなかった。


 することもなかったので、とりあえずそこで、
昔見た聖者の真似をして静かに座ってみることにした。

私はもう一度自分の凡庸さを見、
望む状態が得られないことからくる、
あのしぼんだ意識を体験した。その間中また胸が痛くなり、
悲しみは増した。
 

 最後に一人、私の中に美しい女性が思い描かれた。
瞳は大きく、腰まで伸びた黒髪は一筋の乱れもない。

ふくよかな体つきは私の性を刺激し、若さと光に満ち溢れていた。
彼女を抱きたいと思うと、胸がひどく痛み、
悲しみは深くなった。思えば思うほど、それは一層強くなった。


 蛇が一匹、草原のあちら側から私を眺めているのに気づいた。
そのときふと、彼女が年老いていく姿が見えた。

彼女の美しさに疑問を抱くと、
少しずつそのイメージは私の中から消えていった。


 気づけば胸の痛みも悲しみもなくなっており、
私ではないようなすがすがしさに取り囲まれていた。


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