◯チームマネジメント
今シーズン、主将に就任してから今日まで、一貫して大事にしてきたものがある。それは、「みんなで」ということ。
みんなで走ろう、みんなで声だそう、みんなで変わろう、みんなでうまくなろう、みんなで勝とう
「みんなで」という言葉を繰り返し口にしてきた。
今年のチームは、1人では頑張れない人が多かった。1人では自分を追い込めない、1人では行動にうつせない。同期でいえば、学年MTG後の練習、そしてあすなろが顕著だと思う。
だから、「みんなで」頑張れる仕組みを構築した。
みんなとなら頑張れる。
今年は「1人」では勝てないことが始めから分かっていた。「1人」では勝てなくても、「みんなで」なら勝てる。後述するスローガンにも似るものだが、俺はこれをポリシーとし、大事にしてきた。そしてみんなに伝えてきた。
だから、そこから外れた行動をとる奴を許すことはできなかった。みんなが集散でダッシュをしているなか歩いているやつ。声出そうぜ!と人よりエネルギー使ってまで盛り上げようとする人を無視するやつ。みんながラントレを全力で追い込んでいるなか力を抜いているやつ。挨拶が適当なやつ。返事しないやつ。
「みんなで」を大事にするにあたって、譲れないところだった。伝えたかった、みんなで頑張ってやってるんだ。お前もやろうぜ。
そしてなにより、個の力の集まりより、凡才の集の力が勝ると俺は信じている。
そして今年の千葉大は、間違いなく後者だ。
「みんなで」という概念は、いまはチームに浸透している。そこに対するアンテナも4年生を中心に増えてきたと思う。
練習は参加するものではなく、つくりあげるもの。みんなで声を出して、練習をつくろう。この言葉も、繰り返し言い続けてきた。
アップ中の声、練習の入りの声、集散に対する声、ラントレ中の声、ダウンに対する声、声の種類も、その声を出す人も増えた。
しかし、この力が発揮されなければならないのは、やはりリーグ戦だと思う。初戦は正直、納得のいくものではなかった。結果ではなく、試合中のチームの在り方が良くなかった。
「みんなで」戦うこと。
「みんなで」勝つということ。
俺は最後までそれを貫き通したい。
◯TS
これまでの軌跡を思い返してみて、TSに対して、ずっと後悔していることがある。
千葉大学男子ラクロス部TS組織は、弱い。
という言い方をすると、彼女達は上級生TSを見る。リーダーがこうだから、上級生がこうだから。他人事のように、原因を環境から探し出す。もちろん、責任はTSリーダー、上級生TSにあるし、さらにたどれば俺の責任である。しかし、ここで言いたいのはそうではない。
千葉大学男子ラクロスTSは、1人1人の力が弱い。何かに迫られたとき、「1部員」である前に「女」が出てしまう。
これは決してTSに文句が言いたいのではない。おれはTSを変えたい。
冬先、練習の効率化を探求した時期があった。圧倒的技術不足の自分達は、基礎練の時期だからこそ、限られたグランド時間の中で、最大限の質・量の練習をする必要があった。
集散ダッシュの徹底、メニュー間の短縮、ロス時間の計算。あのときは、そこまでかというくらい徹底していた。相当ハードな練習だったと思う。死ぬほどボールさわれたし、メッシュはすぐダメになるし。でも、1日の練習が本当に濃かった、自分がうまくなるのを実感していた。
しかし、先に悲鳴をあげたのは、プレーヤーではなく、TSだった。
練習がつまらん、と。
当時の自分には全く理解することができなかった。俺たちは勝つためにやってるんだ、目の前の練習がつまらんからとそれを嘆くな、と。
しかし、いま思い返してみて、あの時期TSからの話を全く聞き入れなかったことを、自分は後悔している。あれは、間違いなく千葉大学のTSを変えることのできるチャンスであった。
そもそも、自分達のなかでは当たり前であった「勝つために」という日々の活動の目的、そして根本的な原動力がTSにはなかった。というか、知らなかったのだ。
4年生にはあすなろがあった。
あすなろは、自分達の力で勝ち上がり、ベスト4を手にすることができた。あすなろの記憶は、プレーヤーも含めいまも4年生の胸に根強く残っていて、原動力となっている。
下級生は勝ったことがなかった。そんな下級生に、ましてはフィールドでプレイしないTSに、「勝つために」やるぞと言ってみても、イメージできないのは当たり前であった。
それでは当然、あの練習は苦痛である。練習外の時間を部活に費やすことには抵抗があるだろう。
当時、それを理解してあげることができなかった。気づいてあげることができなかった。話を聞いてあげられなかった。原動力を一緒に作り出してあげることができなかった。
それを本当に後悔している。
なぜこんなことをここに、そしてこのタイミングで書くのかというと、今年のチームで、今後揺るぎない一丸を生み出すために、俺たちが今年勝つために、千葉大学にはTSの強さが必要だからだ。
TSの存在価値を高めるものは、TS組織の構造や立ち位置、環境ではない。1人1人の情熱や想い、その行動だ。
だから俺は明日の明治戦で、TS陣に「原動力」を与えたい。それは、「勝つために」ということ。
TSに、勝つことの喜びを味あわせてやる。このためにやってきたんだ、と伝えたい。
今シーズンを通じて感じたことがある。プレーヤーにも通じることだが、外発的原動力には継続性はなく、力も弱い。が、自発的原動力には、継続性があり、圧倒的なエネルギーがある。
声出せ!と言われて声を出しても、それは続かないし、人には響かない。声の必要性を十分に理解し、人に届けるために発せられた声には、継続性があり、人に響く。
だから、明日の明治戦では最高の勝利を届ける。格別なものがあると思う。そして、9/3からは、TSには「勝つために」グランドで暴れまわってほしい。
プレーヤーからの感謝ではなく、勝つことをモチベーションにしてほしい。
TS全員がより能動的に動き、1人1人がそれぞれのパフォーマンスを全うする。エネルギーをグランドに撒き散らしてほしい。
そしたらきっと、俺たち千葉大はまた強くなれる。一丸になれる。
だからTSも、明治戦では死ぬほど声を出してほしい。スタンドからの応援、ベンチでもマネジメント、よろしく頼む。
◯一丸
今年のスローガンを考える際、こんなスローガンにしたいと個人的には考えていた。
①4年生から1年生、TSも含めて、立場関係なく全員が意識できるもの
②今年戦う格上の相手に対し、全員で向かっていけるような手段になるもの
だから、4年生みんなで絞り出した「一丸」というスローガンは最高だった。おれはこのスローガンを本気で誇りに思っている。
いま思えば、新チーム発足当時は孤独で、自分を抑えていた。相談する相手もおらず、非常につらい時期があった。練習中の声は誰にも届かず、味方がいなかった。
それから、たいし、みゆき、そしてわたるさん、この4人から今年の一丸は始まった。
金子ゆうすけさん、貴也さん、やまだいさん、4年生、春からは正木さんが加わり、OBの方々、3年生、2年生、そして1年生と。一丸はだんだん大きくなっていった。
いま、一丸の輪は全員にかかったと思う。全員が「勝ちたい」そう思っているはずだ。
これからは、その1人1人のベクトルを大きくしよう。その「勝ちたい」想いを、日頃の行動、言葉に表すことのできている部員は少ないと思う。1人1人のエネルギーがもっと必要だ。
また、主将という立場になってから、これだけたくさんのOBの方々が僕らのことを考え、支えてくださっていることを知ることができた。合宿には、新潟まであれだけ多くの方が足を運んでくださった。
この一丸は、現役はもちろん、OBの方々、家族をはじめ、部に携わり応援してくださっている全ての方々と共に戦うことを意味している。
今後、よりこの一丸を大きくし、揺るぎないものとするために、尽力していきたい。今年の結果は、そこにかかっていると思う。みんなにも、協力してほしい。おれたちの一丸は、まだまだ成長過程だ。そして、この一丸の力を、俺は最後まで信じたい。
○明治戦
4年となり主将ともなると、一つ一つの勝ち負けが全て自分事である。4年間かけて、辛いものを乗り越えて、今があることを実感する。
特に、当日のパフォーマンスだけではない。1年間チームの中心にいて、日々を積み重ね、そのチームマネジメントが勝ち負けを左右する。自分が勝ち負けに最も大きく関わる立場、勝負に立ち向かえるっていうのは、とても楽しみなことだ。
明日はリーグ戦第2戦である明治戦。
2014年11月1日、14シーズン最終戦であった入れ替え戦、1部の舞台を掴みかけた手は、明治に蹴落とされた。尊敬していた先輩方が泣き崩れていた、グランドで何もできなかった、千葉大学の弱さ痛感させられた。
運命か否か、あの明治と、もう一度試合ができる。
入れ替え戦のあの日があったから、今の自分があると確信している。あの悔しさは、いまも忘れられない。自分の中に根強く残っている。未だにラントレで辛いとき、踏ん張ろうと頭に連想させるのはあの入れ替え戦の悔しさである。あの入れ替え戦は、自分を大きく成長させてくれた。
よくOBに言われる。「今年1部で大丈夫?」たしかに、例年に比べて個の強さは劣ると思う。シューターもいないし、OFもDFも1on1めちゃめちゃ強いやつはいない、スーパースターもいない。
でも、俺たちには【一丸】がある。
最強と謳われたあの14チームが勝てなかった明治、しかもそのときの明治より、いまの明治は強いだろう。その明治に勝つことは、いまの千葉大が、過去の千葉大よりも強くなったことの証明になる。
前評判では軍配は明治だ。
でも、そういう相手をぶっ倒すために、今年の1年間があった。試合中、苦しい場面がくるはずだ。そのときのために、一丸をつくってきた。あれだけ声出そうと叫んできた。言い訳のできない本気の勝負。不安はない。俺たちなら勝てる。自分たちの全力を、正面からぶつける。明日勝って、俺たちの夢を、確固たるものにしたい。
最高の準備をしよう。
勝つのは俺たちだ。
一丸。