-------------------
100枚の名刺と「人脈」
-------------------
最近、大学生からの質問で
「人脈の広げ方、付き合い方」を聞かれる機会が増えてきました。
人脈の多い方も少ない方も関係なく、
人付き合いに関しては興味があるようです。
私も社長を志してからは
「人脈」について考える機会が多くありました。
また、様々な方と出会う中で多くの壁にもぶつかってきました。
私なりの見解をお話します。
-------------------
21歳の頃「リーダーシップを学ぼう」と
大学3年生にガイダンスをしました。
彼は残念ながら契約には至らず、
帰り際にこう言われました。
「室舘さんは社長を目指しているんですよね。
社長の人脈はどれほどありますか?」
当時の私には社長の人脈などありません。
彼は100枚程の名刺を見せながら誇らしげにこう言います。
「私も社長になりたいと思って、これだけの社長に会ってきました。
社長の人脈がない室舘さんからは正直、学ぶことは無いのかなと思います」
私には目の前の彼が大きく見え、
返す言葉がありませんでした。
敗北感を胸に、重い足取りで事務所に帰りました。
上司に「契約できませんでした」と報告したところ、
様子が気になったのか「ムロさん、詳しく話を聞かせて」と。
一部始終を話したところ、上司は静かに言いました。
「結果は残念だった。
彼が名刺を100枚持っていたことは凄いと思う。
ただそれを人脈と呼ぶのは大げさな話だ。
社長の名刺をたくさん持っている人は、世の中に山ほどいる。
ただ、本当の人脈は、いつでも協力を仰げたり、
困ったときに助け合えたりするものだ。
彼がそのような人脈を名刺の数だけ築けているとは考えづらい。
だから、真に受けずに、今は実力や魅力を磨きなさい。
今は人脈がなくても、実力が高まれば、向こうから集まってくる。頑張れ!」
落ち込んでいた私を諭し、
励ましてくれた上司の言葉は非常に腑に落ちました。
後にこんな言葉と出会います。
「本物は共鳴し、引きつけ合う」。
もし素晴らしい出会いを望むなら、自分が本物になり、
素晴らしい人間として出会いなさい、ということです。
私は、20代は実力を磨く時期だと割り切って突っ走りました。
時が経ち、33歳で社長になりましたが、
人脈は少ない方でした。
会社のためにも1年で1000人と出会おうと決め、
様々な会合に出かけました。
しかし名刺を交換しても、多くが営業目的です。
アポなしで会社に来られたり、
大量の営業資料を送りつけられたりと、
興ざめしたことも少なくありません。
はっきり言って人脈になりきらなかったのです。
しかし振り返って思います。
それらの出会いにも意味はありました。
人を見抜くためにも、真剣に人を見るようになりました。
直感も磨かれます。
付き合っていい人か、警戒すべきかと肌で感じることができます。
学生さんには
「(最低限の警戒はした上で)ドンドン付き合いを広げましょう」
と伝えています。
人を知る経験は、本やネットからは得られません。
恐れず行動することをオススメします。
今はおかげさまで、多くの素晴らしい人脈に恵まれました。
人脈とは数で比べるものではありません。
自分自身の魅力や公精神、ビジョンに見合った人たちが集まるものです。
ただ人脈には鮮度があり、時間が経てば劣化して無くなってしまいます。
人生の限られた時間で、より素敵な方々と出会い、
過ごすためには
「自分が良い人として出会う」という意識で
日々、自分を磨くことです。
それが良い人脈の構築につながることでしょう。
-------------------