皆さま、こんにちは、
『越境コラボ塾』 塾長の 真門 です。
+ + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + +
多文化・多国籍・多世代がコラボレーション
する時代の、人と組織を考えるブログです。
+ + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + +
ある勉強会で“伝承力”の話をしていたら、
“時代が変わり、以前の成功体験に固執する事が逆に
自分の足を引っ張るかもしれないのに、先輩の体験を“伝承”
するのは、流れに逆行しているのではないか“
という質問を受けました。
このご指摘は一理あります。
過去を断ち切って、新しい方向に進まなければならない時に、
余計な成功体験を“伝承”され、
その結果間違った方向に舵をとって失敗した、
なんて話では洒落にもならないでしょう。
そのリスクを、否定する気はありません。
ですが私は、2つの話で質問に答えました。
一つ目は、“破壊と創造”と呼ばれるケースでも、創造の基盤には
必ず質の高い「知識」が必要であり、
それらは組織の中で伝えられていなければならない、ということ。
コアコンピタンスは、外から簡単に持ってこれるものではないからです。
以前、カンブリア宮殿というテレビ番組で富士フィルムが取り上げられて
いました。
社名にある“フィルム”という中核事業の比率を積極的に引き下げ、
思い切って医療分野や化粧品分野に資源を集めて、
会社の危機的状況を乗り切ったという話です。
表面的には全く違う衣(事業内容)に変えた訳ですが、この原動力に
なっていたのは、フィルム技術で磨いた“ナノテクノロジー”分野の
基礎技術を社内でしっかり育てていた事だったと、語られていました。
「知識」が内部で伝承されていなければ、この様な展開は不可能です。
二つ目は、“伝承”という行為が元来「創造」を含んでいる、という話です。
“時々の初心”とは室町期の能の大家、世阿弥の言葉ですが、
時代が変わり社会が変われば、芸も変わっていかなければならない。
それは今も昔も同じです。
先達のワザがどれほど素晴らしいものであっても、それを引き継ぐ者は、
自分を取り囲む環境に自らのワザを適応させ、
直接自分と関わる人々から評価をもらえなければいけないのです。
世阿弥は一度覚えた芸に慢心せず、常に見直し磨けと、
その“伝承”の書である「花伝書」で繰り返しています。
彼はこれを“初心”と表現しましたが、
現代に当てるなら、それは“創造”と対応しています。
変化が大きい時代とは、“適う”為に大きな創造性が求められるからです。
変化が大きく従来型では立ち行かない時代には、
既存の「知識」の伝承を否定的に見る見方も出てきてしまいますが、
それは本質を外していると、私は思います。
===================================
最後までお読み頂き、有難うございました。
『越境コラボ塾』 塾長
真門
+++++++++++++++++++++++++++++++++
ブログ運営元:
チエ、ワザ、ココロでつながる組織づくり
株式会社エイシア
http://www.asia-corp.jp
+++++++++++++++++++++++++++++++++