「若手にもっと伸びて欲しいのだけれど、ベテランの知恵がうまく伝わらない」
こうした話は本当に沢山の職場で聞かれます。
ベテランが若手とうまくコミュニケーションが取れない。
単純には、そういう話です。
「昔はそんなに問題じゃなかったのに」
これも、よく耳にする言葉です。
原因は、
終身雇用、年功序列、日本的経営のタテ社会が崩れ、
職場共同体が緩まって、先輩・後輩のかつての密な関係が
崩れたこと。
よく指摘される点です。
私もそれが大きな要因だと思っています。
今の20代の人は、中学・高校で運動部にいた人でも、
先輩に服従、とか上下関係重視という感覚は殆ど感じられません。
むしろSNSからのヨコの繋がりに敏感で、
2-3年上の先輩あたりだと、多分そっちで繋がっている“仲間”
というイメージなのかもしれません。
つまり相当に強力なヨコ社会がやってきています。
そんな状況になって組織で何が起きるかといえば、
40代、50代/タテ社会世代と、SNS/ヨコ社会世代との
“徒弟ギャップ”です。
タテ社会世代は大方“徒弟的”な仕組みが機能する中で“仕事”を
覚えてきています。
残念ながらこの人たちはその方法以外に知らない。
教えろ、と言われれば、自分たちが習ったやり方でやるしかない。
成功例としてそれしか知らないのだから、仕方ありません。
ですが、SNS/ヨコ社会の住民は、そのやり方を受け取れない。
タテ世代とヨコ世代の切れ目は大体’95 – ‘05の辺りですが、
この変化があまりに極端で、中間層というのもあまりいません。
今の30代を挟んで20代と40代、50代の間のギャップが
「仕事力」の移転を阻んでいる。
時代の変化と共に起きた構造的な変化は、
仕事知の伝承問題の一番の原因なのは間違いない。
じゃあ、コミュニケーションが良くなれば、解決するかというと、
残念ながらそれほど単純でもありません。
そこを知るには“徒弟“時代にうまくいっていた”何故“のところを、
探っていくことが必要です。
その中味は、次回書きます。