今回のテーマ”暗黙知”について、ハンガリー人の哲学者である
マイケル・ポランニーは、こんな例で説明しています。
“ある人の顔を知っているとき、私たちは…百万人の中からでも見分ける
ことが出来る。 しかし、通常私たちは、どのようにして自分が知っている
顔を見分けるのか分からない。だからこうした認知の多くは言葉に
置き換えられないのだ。“
この“言葉に置き換えられない”知を彼は“暗黙知”と呼びました。
今回は、私たちが日々使い慣れている箸を使って、
自分たちが持っている“暗黙知”をまず意識化するところから始めました。
そしてこのワークから、暗黙知が働く際の「構造」の説明へと
進み、「近位項」と「遠位項」、「内在化」など、ポランニーによって
提唱された概念を見ていきました。
この部分の説明を準備はしていたのですが、かなり分かりにくかった様です。
実際“暗黙知”の「構造」を説明している間、
参加者の頭の中に沢山の???がたっているのが分かりました。
壇上に立っていて“こりゃ、やばい”っていう感じです。
そもそも「言葉に置き換えられない」と定義されている“暗黙知”を
言葉で説明しようとしたことが、間違っていました。
そこで説明の方向は見切って、参加者の皆様から
「後輩に伝えたいと思うけれど、それがうまくできない」
事例を出して頂き、そこに「構造」の話を載せてみたところ、
やっと参加者の顔に“なるほど”マークが出始めました。
ほっと一息です。
やはり参加者の側にあることを引き出して、そこに乗っかっていくことが大切なのだと再認識しました。
“暗黙知”は「仕事知」の中核を占めているもので、
仕事の中味が違えば異なる“暗黙知”を発達させることになります。
中身が異なる故に“暗黙知”と聞くと、どう扱っていいのか見当がつかない、
と思いがちですが、今回示した様な「構造」を理解することで、
方向は少し見えてきます。
とはいえ、“理解できた”というレベルまでは未だ相当の距離を
感じました。
色々と改善点が分かり、講師としての収穫は極めて大でした。
以下、参加されたみなさんの感想(抜粋)です。
・ とても面白い視点です。 が、よく分からない。
・ 説明の内容はわかっていたけれどモヤモヤしていた。
・ みなさんの事例を聞くことで何となくイメージがわきました。
・ 内在化のお話に共感しました。
・ 内在化と包括的全体の違いが分かりにくかったですが、暗黙知を知るきっかけとして大事だと思いました。
・ 奥が深いもの。今後が楽しみです。
第二回は4月16日(木)に開催します。内容も徐々に成長させていきたいと思います。
詳細は、http://kokucheese.com/event/index/279272/
をご覧ください。



