イチロー、錦織、(将棋の)羽生名人、本田宗一郎、松下幸之助、
分野は違えども一流と呼ばれる人たちは皆、独特な個性、
特有の“自分流儀”を、作り上げていると感じます。
厳しい状況に置かれても動じない安定性、
行動や言葉の中に、その“らしさ”が感じられる一貫性、
存在が醸し出す安心感。 やっぱり格好いい。
“自分流儀”について探求する今回のセミナーでは、
冒頭“自己流“と”自分流儀“の違いについて考えてみました。
“自分流儀”は原則、ルール、セオリーに基づいている。
“自分流儀”は一定の完成度を備えているので、周囲に迷惑をかけない。
“自分流儀”には生き方や在り方、自分の軸が反映されている。
参加者から頂いたご意見です。
守るべきポイントが押さえられているが故に安定感があり、
能力のみならず人間性も含めて“周囲から信頼を得られる”有り様。
まとめると、そんな表現となるでしょうか。
前半のワークでは、現場の実践に焦点をあて、各々がそこでどの様な
知的作業を行っているのか「見える化」してみました。
そこで現れた作業を改めて“周囲から信頼を得られる”観点で評価してみると、
日常の自分が色々な角度から自分を制御していることが見えてきます。
そしてその「作業」こそが、現在の自分が発揮している“自分流儀”の
現れであることは、言うまでもないでしょう。
それではその“自分流儀”を、どう磨いていけばいいのか?
世の中の多様性が拡大し、変化のスピードが日々上がっていることを
私たちは実感しています。
先輩がやってきたやり方そのままでは対処出来ない、
組織としても経験したことのない事態に、
その時その場で方向を出していかなければならない。
そんな世界に、今の私たちは取り巻かれています。
となれば、この時代に責任ある一人の人間として、また
一職業人として役割を果たさなければならないプロフェッショナルとして、
日々現れくる物事に対峙できる眼を持たなければなりません。
一瞬一瞬後悔しない生き方としていく感性も求められます。
後半はそれぞれが自らのキャリアを語りながら、これまでの仕事経験に
現れていた、自分の価値観、大事なもの、自分らしさの原則、等を見ていきながら、
こうした“眼”や“感性”を鍛えていくキーエレメントを探り、
最後はこれからの行動指針まで、考えていきました。
商社勤務のKさんは、今回のセミナーで自分の価値観や思いを見ていくことの
重要性を改めて感じると同時に、
モヤモヤしていた部分がかなりの程度整理されたと、語られました。
社会福祉法人の理事長をされているSさんも、迷っていたあるプロジェクト
に取り組むことを、今回のワークの中で決心した、と話されていました。
90分弱の時間でしたが、思った以上にインパクトが出ていたと知って、
やった側としては、ちょっとした驚きがありました。
そしてそんな展開を見ていて、“自分流儀”を磨くコアにあるものとは、
日々自らの選択に意識的になることなのだろうと感じました。
社会や組織の中で間断なく自分に降りかかってくる様々な事柄を
自分自身で意味づけし、
分類したり関連付けたりしながら優先度をつけて、自分の中での「世界」の作り込みとしていく力、
それが“自分流儀”と、そういう風に言えるのではないか。
今自分の前に広がっている「世界」を、
すこしづつでも“自分好みの”「世界」に変えていこうとする力。
そんな風に捉えるならば、少々苦しいことがあっても、
“自分流儀”を貫き、磨いていくことの意味は少なくないのではないかと、
そんな風に、思うことが出来た時間でした。
ご参加頂いた皆さま、どうもありがとうございました。






