第18回「仕事知」セミナーは、
“共感力”を取り上げました。
このテーマでやりたいと思ったのは、
“共感“が”学習“とりわけ”経験学習”
と深く関わっていることが、色々な研究で
明らかになってきたからです。
無論、学習と共感の関係は以前からも
言われてきたことだし、
感覚的にもつながりは予測出来るものです。
とは言え、自分自身として
あまり勉強もしてこなかったので、
この機会にすこし突っ込んで見たいと思い、
とり組んで見ました。
世紀の変わり目、およそ20年くらい前に、
イタリア人研究者たちによって発見された
“ミラーニューロン”(ミラーシステム)が、
脳科学の領域に
大きな革命をもたらしていると言われます。
“ミラーニューロン”とは、他者の行動をみて、
その行動をしている本人と同じ感覚、
同じ感情をもつ神経システムです。
サルの脳で認知の仕組みを調べていた3人のイタリア人研究者が、
これを偶然発見したのだそうです。
人がバナナを食べている姿を見たサルが、
外界を認知する際に活性化する脳の領域だけでなく、
自分が何かを食べる時に使う脳の領域
(運動野とか運動前野と言われる)
までをも、一緒に活性化させたのだそうです。
つまりサルは、他人がバナナを食べている姿を、
あたかも自分が食べている様な気持ち(感覚)で
見ていたことが分かった。
他人を見ながら、
自分自身が食べている時と同じような精神状態に
なっていた。
この発見以降ミラーシステムの研究が進み、
我々が他者の行動や表情などを見ている際に、
他者が味わう喜びや達成感、また痛みやくやしさをも感じ、
共有していることが分かってきた。
これは他者の行動を“認識する”脳の部分と
自分がその行為を“実践する”際に活性化する脳の部分の間に
連結(一方が活性化されると他方も自動的に活性化される)
が出来ることから起きる現象であることが、段々分かってきた。
ミラーシステムが働く強さは経験などにも
作用されて個人差があり、
また遺伝的な要素に負うところもあって、
同じ反応が誰の場合でも観察される訳ではありません。
今回参加者に受けて頂いた
デイヴィス「多次元共感測定尺度」は、
4つの下位次元 –
「視野取得尺度」「空想尺度」「共感的配慮尺度」
そして「個人的苦悩尺度」からなっているのですが、
このうち「視野取得尺度」のみ、
ミラーシステムとの相関関係が確認されたのだそうです。
つまりこの尺度が高い人は、他者行動に共感して、
他者のもつ身体感覚を共有する能力が高い(らしい)、
すなわち実践力を学ぶ
能力が高い(多分)と考えることができる訳です。
「視野取得尺度」を測る問いをデイヴィスの尺度からいくつか引っ張ると、
◇ 何かを決めるときには、自分と反対の人の立場に立って考える
◇ 友達を理解するために、彼らの立場になって考えようとする
◇ 対立する2つの意見があるときは、両方を考慮するように努める
等。(なおデイヴィスの尺度は当てはまるレベルを5段階で回答します)
今回セミナーに参加したSさんには、
驚異的に高い「視野取得」のポイントが確認され、
診断を通じて、今まで本人があまり意識していなかった
強みに気づかれた様子でした。(おめでとう!)
主催者としても、今回このテーマからは色々と収穫が得られたので、
満足度が高いのですが、
今後はやはり「仕事知」強化につながるトレーニング法の開発を、
進めていきたいと、
かなり大きめの欲が湧いてきました。(ワクワク)
色々な可能性が見えた今回セミナー。
ご参加頂いた皆様に感謝です。






