“少子化“が語られる際にしばしば「人口ピラミッド」
の絵が示されます。
(あれはどう見てもピラミッドではないのですが)
団塊の世代である68-69歳あたりにピークがあり、
そこから暫く減少となるものの、
団塊ジュニアと言われる44-45歳(’73-74年生まれあたり)に
次のピークが現れ、
その下は逆ピラミッドの様に年々細くなっていきます。
この形は現在の多くの職場にそのまま反映されています。
たとえば私が昨年仕事で関わったある職場は、
課長(45歳)、課員(50代 2名、40代 2名、30代 1名、
20代 3名- うち2名は契約社員)といった年齢構成でした。
40代のメンバー2名も実は課長より年上で、
かなりトップヘビーな状態だと分かります。
この状況は確かに大変なのですが、本当の問題はこれからです。
例えば2030年にこれがどうなるか。
若手が大量に入ってきて大幅に若返っている、などと望むのは
全く問題外です。
むしろこんな感じが見透せます。
課長(45歳)、課員(70代 1名、60代 2名、50代 3名、
40代 1名、30代ゼロ、20代 2名-うち1名は外国人…)。
トップヘビーな状態が更に進むと共に、
世代間の距離が拡大しています。
少子化が進展する一方で年金の財源が限られている現実を考えれば、
定年が事実上撤廃され、
減額された年金額を補充すべく多くの高齢者が職場に留まることは
必然でしょう。
その結果、20代から70代と、
生まれが半世紀近く違うメンバーが机を並べて仕事をする、
という状況がごく当たり前に出現してきます。
今でさえ顕在化している意識のギャップが、
一層顕著に現れてくるのは、まず間違いないところです。
そこで問われるのが、リーダーの情報管理力、そして
それを実現する場づくりの力です。
別の表現をするなら、職場内の知識流通をマネジメントする能力です。
つまり自分の指示や思いをメンバーに伝えるばかりでなく、
Aさんの知識や経験を引き出してBさんに伝えたり、
CさんとDさんの知恵を繋げたりという、
メンバーの間の情報流通を活性化させる力です。
と、書くのは容易いですが、現実の世代間には
かなり厄介な問題が横たわっています。
例えば職場の若手社員の不満を聞くと、ITリテラシーの低い
年配社員から、自分が“出来ない“ことを理由に、
仕事を押し付けられた、とか、仕事を増やされた、
といった話によく出会います。
今日現在既に顕在化しているこうした問題が、
今後更に拡大することは容易に想像できるところです。
年配社員の側にも複雑な思いが溜まっています。
まず大体において自分の上司は、かつての部下や後輩です。
自分たちが若手社員や契約社員たちと同列に並べられて指示を
受けるのは、(状況が)分かっていても簡単に納得はできないものです。
まして、自分が苦手と思うような働き方を強いられれば、
ストレスも溜まり、愚痴も出てきます。
これらは限られた事例ですが、異なる世代が一緒に何かを
しようとすると、複雑な形の心理ギャップがどうしても
沢山生まれてしまいます。
そしてそれらを解決していくためには、
弱みを含めて相手をトータルに認めていけるような、
異文化コミュニケーションの能力や、メンバーの間に相互認知の
瞬間を生み出せるような場づくりが必要です。
結局メンバー間の関係づくりをしっかりやっていかなければ、
何をやってもダメなのだと思います。
まもなく日本の職場は大変な時代に突入します。
そこを乗り切るには、これまで同様の職場観や仕事観を償却して、
新しい発想の上での協働を構築していかなければなりません。
そしてそのためには、これまでにはそれほど必要とされてこなかった、
新たな形のリーダーシップが求められるのだと思います。
