
ある企業さんで実施中の主任研修の話です。
受講者は大部分が2-4人チームの職場リーダーで、
若手側は30代前半、ベテラン組は50代半ばくらいまでおられて、
同じ“主任”でも結構年齢幅があります。
グループワークをやると、
上と下でモノゴトの捉え方の差異が相当にあると感じます。
個人差ももちろん大きいですが、
現時点(2021年4月)で40歳前後以下の人たちと
50歳前後以上の人たちの間に、特に断層があると感じます。
単純化しすぎかもしれませんが、両者は、
タテ社会的秩序が身体化されている世代と、
その秩序からの影響が殆ど現れない世代に
大きく分けられると思います。
(両者の間の層には、影響がまだらに現れてきます)
私が研修でやっていることを一言で言えば、
世代間の断層をつないでいけるような、
コミュニケーションの技術(共通言語)をお伝えし、
互いの“物語”を聞き合って、連帯意識を高めて頂くことです。
会社の研修ということもあって、初めは探り合いが多く
暫くは本音の話に入っていけないのですが、
いくつかワザを学んでもらった後に、
互いの物語を引き出す“相互インタビュー”をやり、
更にテーマを決めて共同で何かを作り出すワークを体験すると、
雰囲気は大きく変わってきます。
対面の研修なら方々から笑い声が聞こえ、歓声が上がったりもします。
(今年はオンラインなので、これを聞けないのですが-涙)
共通の言語(会話パターン)に慣れてくると、やり取りを通じて
自然に聞き方と語り方の“作法”が分かってきます。
それが使いこなせるようになると、
ギャップは大幅に解消されていくものだと感じます。
そうやって開始時は中々厚かった壁を溶かしていくと、
雑談的な会話も、自然に起きるようになってきます。
ではそれで一気に創造性が上がったり、問題を解決したり
業務をいい形に改善できるようになるかと言えば、
残念ながらそうはなりません。
会話は出来ても、中身は実質バラバラで、すれ違ったままで
ワークとして終了させているケースが殆どです。
個別に内容は違うので、これも一概に言うのはちょっと
単純化しすぎな感じがありますが、
直観的に感じられる世代間の差異は、こんな感じです。
“(タテ社会秩序)身体化サイド“は、まずは体を動かしていき、
そこから必要な修正をかけていけばいい、という感覚。
そうすることによって、徐々に“答え“が見えてくる、
という確信を、体のどこかに持っている感じです。
これに対して“非身体化サイド”は、情報を取り、意味を確認し、
やり方をイメージ出来るようにならないと動けないし、
動くべきではない。
先が見えないのに“まずは動いてみる”という発想には
どうしても信頼が置けないという、
そんな傾向が強いと感じます。
両者はどちらが正しいという類のものではなく
お互いの言い分は経験的・感覚的なモノなので、
ワークはそれぞれが想いを出し合いながら進んだ後、
話はイマイチ深まらないままで妥協していく傾向があります。
もちろん研修でするワークなので、アイデアを出し合って、
意見をぶつけ合って、ひとつ形のあるものが出来上がるので、
一定レベルの満足度は出てきます。
(それだけでも一定の効果はあります)
おそらく、
日常の“会議”などと比べれば、全く次元の違う成果が得られ、
受講者はそこで結構な満足感を得ているのだろうと思います。
しかし多世代が入り混じって作り上げた成果物を見ると、
時間の枠に収めるべく最後に妥協したか、
とりあえず体裁を繕ったと思われるものが大部分です。
コミュニケーションは成立しているのだけれど、
お互いに殻をまだ突き破り切れていない。いま一歩、
いや二三歩まだ及んでいない。
ここもまた一般化しすぎな感じはありますが、敢えて言うと、
今の日本企業の根本的な問題は
この世代間の“見えない殻”にあるのではないか、
そんな気がします。
この先にある殻をぶち破っていく必要がある。
階層別研修では、そこのところがイマイチ突き破れない。
突破の鍵になるものとして、主任研修等の階層別研修の先に、
殻をぶち破る道を検討頂くべく、こんな提案を出しています。
(宣伝みたいですいません。お読みいただいているみなさんの
参考になれば、という主旨です)
1)仕事観、人生観の違いを超える対話力の訓練
上の様な世代間GAPは、最終的には職業人としての在り方や、
人生の捉え方に行き着きます。こうしたレベルは、普段お互いに
意識などしないままにやり取りをしているけれど、
そこを出し合って認め合わなければ、最終的にぶつかり合って
エネルギーのベクトルを合わせる作業は困難だ、との考え方です。
自らの物語を語り、一方で相手の物語を引き出し、そこから価値創造
へと向かっていける対話型リーダーシップのトレーニングです。
2)会議の企画・運営力を高める訓練
議論や対話が“いい雰囲気”で進められるようになっても、
最後の最後は“妥協の産物”に行き着いてしまう、
主な原因の一つは“会議運営力の欠如”です。
例えばタイムリーに適切なフレームワークを提供できる
だけでも、成果物は全く異なる形になってきます。
階層別研修で学んだワザや用語を使って、
創造性を引き出す手法や、フレームワークを使って
議論を展開させていく会議運営法が
ここでご提案しているものです。
3)上位階層(特にトップ)に向けての研修実践
研修講師として、ここはチャレンジの部分です。
役員階層への研修は、
提案をしても正直中々実現しない領域です。
世代間GAPの問題をトップ層が認識し、
実は彼(女)らが問題を生み出している一部だったのだ、という
“体験的な気づき”が起きてこない事には、
本当の意味での変化は多分不可能です。
長い時間をかけて現場に変化が起きだしたところに、
トップの一言で全部振出しに戻った苦い経験談は、
色々なところで聞かれます。
なのでここは、一番やらなければいけないのですが、
中々実現が難しいと、いつも感じているところです。
かつて世界に名を響かせた日本企業が次々衰退し、
縮小され、切り売りされる姿が昨今目につきます。
誠に見るに堪えないものがあります。
戦略のミスや早すぎる市場の変化など、原因は様々だと思いますが、
組織内部に沈潜する世代間の意識GAPは、
様々な変化への企業の解決能力を大幅に落としていると感じます。
これは、殆どすべての日本企業に共通する課題と言っていいでしょう。
この問題と向き合い、方法を進化させ、より広く実践の場に
お伝えしていくことは、
今の時代に研修を実践する者の大きな使命ではないか。
最近のニュースを見ながら、そのようなことを考えています。
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