「物語」の効果を高める“4要素” | チエでつながる, ワザでつながる、ココロでつながる、価値を生みだす           ~ 物語思考が世界をかえる

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この世に生まれて間もなく、人は「ものがたり」と出会い、そこで広い世界とのつながりを作ります。このblogでは、「ものがたり」と共にある人の可能性を探求していきます。

 

日常的な出来事は5段階の展開によって、

「物語」に “格上げ”されると書きました。

 

更にこれを“聞き手の心に刺さる”、“共感を呼ぶ”、

”印象に残る“話にしていくには、どうしたらいいか。

 

ストーリーコンサルタントのキンドラ・ホール氏は

著書『心に刺さる「物語」の力』の中で、

ストーリーを効果的に語る為の要素として

次の4つを挙げています。

 

1) 共感できるキャラクター

2) 本物の感情

3) 拡大された瞬間

4) 具体的なディテール

 

順に見ていきましょう。

 

1)のキャラクターが重要であることは、既に書きました。

 

キーワードは文字通り”共感“であり、

「聞き手」が主人公に感情移入して、自然に

主人公の視点を内側に持ってもらえるように

することです。

 

語られた話を聞いて、

“私もそうだ”、

“自分も同じように思うだろうなあ”

の様に感じること。

 

「聞き手」が主人公と自分自身を重ねてしまう、

そんな状況描写や感情表現がキーです。

 

「30代半ば、商社マンとして脂が乗ってきていた私は、

 この地で一旗揚げてやろうとばかり、意気揚々、

 アフリカに向かったのでした。」

 

と聞くと、少しばかりアフリカに近づいた気分も、

湧いてくるのではないでしょうか。

 

2つ目は本物の感情。

「物語」の展開と共に動く、状況に内在する感情です。

不安、苛立ち、焦り…、一方の歓喜、安堵、開放感、…

これらの内側の声を表現していきます。

 

ここでも「聞き手」の共感を生む工夫が重要で、

“落ち込んだ”、“苦痛を感じた”と語る代わりに、

 

「軽蔑の視線で体中を刺されている様に感じた」

とか、

「椅子や机すらも自分に敵対している様な気がした」

 

の様に、

 

その時五感が捉えた感覚を語る方が、

届きやすいこともあります。

 

3つ目は場面の切り取りです。

象徴的な瞬間を詳細に表現することで

特定のシーンを印象付け、

記憶に刻み込む効果が生まれます。

 

「箸もフォークも無くて戸惑っていたところに、

 さっとジョージがやってきて、

 手に野菜をとり、さらにその野菜で手羽肉を掴み、

 旨そうに食べて見せながら、にやりと笑ったんです。」

 

の様に、瞬間を実況中継する感覚です。

 

最後の具体的なディテールは、

「聞き手」の世界と語りの場面をつなげるための

表現的な工夫です。

 

「物語」の場面を描写するにあたって、

身近でイメージしやすい世界を描き、

「聞き手」をその場に引き入れるのが目的です。

 

「マホガニーのデスクと革張りの椅子、

デラックスな応接机とソファー。

ふかふかのソファーに腰を下ろした先輩は、

暫くの間、夢の様な新しい環境に浸っていたのだそうです」

 

こんな感じで何となく、

どこかで体験した感覚が蘇る様であれば成功です。

 

「物語」の効果を高める4要素は、

キャラクター描写が冒頭部分に置かれやすい、等

大まかな傾向はあるものの、展開に合わせて

5段階のどこに置いてもよいものです。

 

大切なのは、聞き手目線。

もっと言えば、聞き手の肌感覚にフィットした形の

語りを工夫することで、

「聞き手」が自然に「物語」の世界に入れるような

道筋を作って行くことが重要な訳です。