『英雄の旅』の標準プロセスは、
主人公が安住の地を離れて未知の領域に入り、
そこで様々な試練と出会い、
そのプロセスの中で人間的な成長を遂げ、
やがて大きな戦いに勝利し、
宝を携えて、安住の地に帰還する、
というものでした。
同じような試練と出会っても、英雄になれる人もいれば、
そうなれない大勢の人がいます。
その違いはどこから生まれるのか、
J.キャンベルの著書等を参考に
旅のプロセスを段階ごとに見ながら、
「英雄」になっていく為の条件を考えてみます。
① 安住の地を離れ旅に出る段階
「英雄の旅」にこのステージは必ず出て来ます。
人間としてある程度の常識等は身に着けているものの、
かなり不安な状態で未知の領域に入っていく段階です。
無理やり旅に出されてしまうケースもありますが、
安住の地を離れられず、最初の一歩を踏み出せない人も
少なくありません。
この一歩が無ければ、絶対に英雄になれません。
② 様々な試練に出会い、それらを乗り越えていく段階
目の前の課題を認識し、自己の内にある諸能力と
外部の諸資源(識者の知、道具、仲間の力など)を
マッチングさせて解決を導いていく段階です。
このプロセスを経る中で、多様な課題に対する
自分なりの解決法が構築されていきます。
このプロセスを突破できる人は
一定程度以上に動き回り(行動)、
貪欲に学ぶ(学習)という特性を現します。
③ 自信がついてくる一方で限界が自覚されてくる段階
いくつかの試練を乗り越えていく中で、
自分なりの流儀に自信が生まれてくる一方、
他者の助けや運もなければ
目標を達成することが出来ないことに気づく段階です。
英雄になれる人は、この段階辺りまでに
“利他的・自己犠牲的な特性“を示す様になります。
④ 犠牲を覚悟して決断を下す段階
失敗した際の損失が大きい様な、
リスクの高い決断が求められる局面とは、
英雄が英雄たるに相応しいか否かが試されるところです。
この決断を下せるためには、
強い意志や大きな使命感が必要なため、元々抱いていた
願望(Wish)が意志(Will)へと変化していなければいけません。
⑤ 大きな戦いに勝利して宝と共に帰還する段階
戦いに勝つためには、運も含めた総合力が必要です。
犠牲を払って戦ったけれど、破れてしまう可能性もあります。
とはいえ、人の成長に焦点を当てる限り、
ここで負けても相当レベルの成長は果たせており、
元の姿からははるかに自立した大人となっている状態です。
英雄になるチャンスはその後も巡ってくるので
悲観的になる必要はありません。
以上の如く、「英雄」になるためには
いくつもの関門を突破する必要があります。
① をクリアしなければ②の段階には行けず、
② をクリアできなければ③の段階にも行けません。
そして運よく⑤の段階に行けても、
戦いに敗れてしまうかもしれません。
その狭き門をパス出来るからこそ英雄となれる訳で、
これは当然といえば、当然の話なわけです。
英雄と英雄以外とを振り分ける基本的な構造は以上です。
ではどのように、この階段を上がっていけばいいのか。
特に②の行動と学習を、どう進めればいいのか。
その進め方のヒントも『英雄の旅』の中には、
しっかり示されています。
次回はその内容を、お伝えします。