物語型メッセージを導く5つの問い(2) | チエでつながる, ワザでつながる、ココロでつながる、価値を生みだす           ~ 物語思考が世界をかえる

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この世に生まれて間もなく、人は「ものがたり」と出会い、そこで広い世界とのつながりを作ります。このblogでは、「ものがたり」と共にある人の可能性を探求していきます。

では、中身に入っていきましょう。

 

理解しやすくするために、ここでは営業担当者に

向けた上司の以下メッセージ、

 

「第一四半期の売り上げは計画比3割未達。

このままだと、来期は担当から外れてもらうことに

なるかもしれない。もう後がないぞ、

背水の陣で売ってこい!」

 

という「科学・実証モード」かつ、ちょっと

圧力系のメッセージを例に上げて、これを

“物語型”へ仕上げる仕方をご紹介したいと思います。

 

以下、順に問いに答えていきます。

 

1.メッセージを発信したBefore/Afterで、

聞き手に起こしたい変化は、どんな変化か?

 

メッセージを捉えた聞き手の意識や行動に、

どういう変化を起こしたいかを

具体的にイメージします。

ここに挙げた例では“営業”とは何をする存在か、

という視点で、変化の中身を考えています。

 

→ノルマのプレッシャーから“買って買って”とお客に

 迫るアプローチから

 顧客から信用され頼ってもらう為に自分に出来る

ことは何か、そこに焦点を当てて考え行動を起こ

せる存在へ

 

2.聞き手の心を揺さぶるテーマや対象とは、

どの様なものか?

 

ここで“聞き手”に焦点が当たります。「物語モード」で

重要なのは、聞き手が生きている世界、

聞き手に見えている世界を起点とする発想です。

なので、普段から聞き手を観察し、聞き手に関わる情報

を集めておくことが重要になってきます。

 

→他者とは異なる独自の流儀を確立し、

“一流の営業マン”と認められる実力を身に着けること。

 

3.聞き手に驚きや感動を引き起こす“対概念”は?

 

“対概念”とは善と悪、歓喜と悲嘆、高揚と落胆、

勇敢と臆病の様な言葉の対のことで、メッセージの意味を

捉えやすくする為のキーワードです。

Before/Afterの転換イメージを鮮明にする機能があります。

 

→ 商品の特徴を並べて“買って買って”と迫る営業 と、

  顧客にとって“有難い人”として認知される存在

 

4.聞き手に行動のスイッチを押してもらう際のハードルは

何か? ハードルを越える為に必要なものは何か?

 

聞き手の意思決定に障害となるものが何か? この

洞察が重要です。ここをしっかり見極めて表現することで

メッセージに力が生まれます。

 

→“数字を上げなければいけない”という観念に縛られて、

発想にも行動にも制約がかかってしまっている状況を

抜けられるかどうか。 

この制約から逃れるためには“数字“の軛から一旦

抜けさせることが必要だ。

 

5.メッセージを伝える為に利用できる物語は何か?

 

1-4の内容を伝えていく基盤となる先行物語を捜します。

  語り手の経験談、伝説的セールスマンの学習体験談、

  歴史上の人物の物語、等。会社組織などでは、○○

  営業所の□□さん、の様に具体的な人物のストーリー

はインパクトがあります。

  

  →語り手(上司)の若い頃の体験談。

 

以上の回答から、こんなメッセージが出来上がりました。

 

「会社が数字数字と言うのは当然だよ。だが顧客に“買って

買って”と言っても、結果が出るわけがないだろう。顧客が

求めているのは、信頼できる情報源であり相談相手。

そう認められない相手から購入する方が不思議じゃないか。

 

と、かく言う僕も、営業マンとして中々芽が出ず、入社3年

目の時、結果が出なければ会社を辞めようとまで思った。

どうせ辞めるなら、やれることをやってから辞めようと

腹を括り、とにかく顧客に役立つ情報を集めることに

徹してみた。本を読んで勉強し、工夫してお客に喜んで

もらえる資料を作ったりもした。ウチに不利になる情報を

見せてしまってまずかったかな、と悩んだりもしたが、

逆にそこから信頼を得て贔屓にして頂いたこともあった。

 

劇的に数字が上がった訳では無かったけれど、この経験

を通して自分流の信頼構築術が形成されたんだと思う。

これは誰かに教えてもらえるものじゃない。結局自分の

スタイルは、自分で作っていくしかないんだと思う。

 

君もそろそろ、自分らしさを発揮することで顧客から“有難

がられる”存在となる自分流儀を作っていく時期だろう。

正直、数字が出ないなら、担当を外されることもありうる

けれど、顧客と信頼関係を作っていくための自分らしい方法

を磨く機会と割り切ってみたらどうだ。若いからと許される

今だからこそ、残りの9か月、徹底してみたらどうだろう。」

 

如何でしょうか? 

 

このメッセージのBefore/Afterで変化が起こせたなら成功

です。無論必ず成功する保証はないですが、元のメッセージ

より効果が見込めるのは、間違いないと思います。

 

落ち込んだり、自信を無くしたり、がある一方で

歓喜したり、勇気を得たり、もある。

 

そんな人生のリズムが入ることで、

人の心も動き出すと考えられるからです。